第32回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 抄録集 会期:2024年9月22日(日)~23日(月) 会場:日本教育会館 主催:視覚障害リハビリテーション協会 主管:第32回視覚障害リハビリテーション研究発表大会運営企画委員会 目次 1  大会長挨拶 2  開催概要 3  会場アクセス 4  参加者へのご案内 5  抄録作成支援について 6  発表者へのご案内 7  プログラム 8  シンポジウムⅠ 9  シンポジウムⅡ 10 ミニシンポジウム 11 防災・減災委員会企画 12 分科会企画 (1) ロービジョン分科会 (2) 余暇活動分科会 (3) 高齢視覚リハ分科会 (4) O&M分科会 (5) 情報アクセス分科会 13 口頭発表 14 ポスター発表 (1) 研究発表 (2) 活動報告 15 視覚障害リハビリテーション協会主催企画 16 機器展示 17 論文募集要綱 18 第33回大会案内 口頭発表演題・筆頭演者一覧 O-1 視覚障害者の歩行支援システムに関する研究 -歩行経路の自動生成- ○大坪 克俊(金城学院大学) O-2 視覚障害者の駅ホーム転落に影響する状況要因と個人要因 ○大野 央人(鉄道総合技術研究所) O-3 視覚障害者の方向定位支援ツールによる全盲者の道路横断軌跡への効果に関する研究 ○稲垣 具志(東京都市大学) O-4 視覚障害児・者に対する補装具・日常生活用具の支給及び活用に関する実態調査 ○奈良 里紗(大阪教育大学総合教育系特別支援教育部門) O-5 図書館の障害者サービス用ICT機器利用支援に関するアンケート調査 ○青木 千帆子(筑波技術大学) O-6 視覚障害学生の読書活動に対する録音図書サブスクリプションサービス利用の影響 ○宮城 愛美(筑波技術大学) O-7 英国の視覚リハビリオフィサーの実情 ○加茂 純子(甲府共立病院 眼科) O-8 医学部1年生への講義「臨床医学入門」の経験を通して ○安藤 伸朗(長岡眼科医院) O-9 眼疾患児対象の試作地域連携パスへの専門医と一般眼科医の批評の傾向の違い ○藤田 利恵(広島アイクリニック) O-10 盲学校における眼球使用困難症の方からの相談等の状況について ○青木 隆一(筑波大学附属視覚特別支援学校) ポスター発表(研究発表) 演題・筆頭演者一覧 P-R1 チャレンジド・ヨガの支援を目的としたヨガポーズの立体模型の有用性に関する評価 ○小柳 洸平(新潟大学工学部) P-R2 Rivo2とBraillSense6の比較について ○西 歩峻(社会福祉法人日本ライトハウス) P-R3 イタリアにおける手でみる絵本の作成と活用 ○大内 進(星美学園短期大学) P-R4 スマートフォンで読み取るブロックプログラミングシステムの開発 ○松本 章代(東北学院大学) P-R5 ゴールボール初心者と熟達者の真っ直ぐ投げる際に意識するポイントの比較 ○濱中 良(京都先端科学大学) P-R6 点字の表示行数の違いが触読速度と触読動作に与える影響―点字熟練度による違い― ○伊藤 優希(新潟大学大学院 自然科学研究科) P-R7 視覚障害者の資格試験に関するアンケートから見えてきたこと ○北神 あきら(特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN)) P-R8 視覚障害者の安全で安心な住環境整備に関する一提案 ○安部 信行(八戸工業大学) P-R9 視覚障害医療従事者の電子カルテ等情報アクセスにおける現状と課題 ○小林 茂敏(視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)) P-R10 視覚障害のある訪日外国人の利用を想定した鉄道駅トイレの多言語設備に関する調査研究 ○久木田 雄輝(東京成徳大学) P-R11 オンライン地図サービスから得られる建築物視覚情報取得可否に関する現状調査 ○竹内 一誓(鶴見大学文学部) P-R12 視覚特別支援学校での歩行指導と視覚障害幼児の歩行 ○三科 聡子(宮城教育大学) P-R13 文字サイズとディスプレイサイズが読書速度に及ぼす影響 ○石田 遥香(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) P-R14 視覚特別支援学校における歩行指導の課題と改善策 ○丹所 忍(兵庫教育大学) P-R15 計算アルゴリズムの違いがMNREAD-Jの読書パラメータに及ぼす影響 ○合田 優希(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) P-R16 視覚特別支援学校小学部における歩行指導の指導場所-単一障害と重複障害の比較から- ○門脇 弘樹(福岡教育大学) P-R17 加齢が明るさ知覚ダイナミックレンジに及ぼす影響 ○石井 基暉(新潟大学大学院 自然科学研究科 電気情報工学専攻 人間支援科学コース) P-R18 ロービジョン児童生徒の教科書以外の電子書籍の利用実態 ○中野 泰志(慶應義塾大学) P-R19 iPad版MNREADによる低輝度下での読書評価 ○西村 彩(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) P-R20 視覚障害教育における卒業後の支援継続のための方策 ○刀禰 豊(岡山東支援学校/チーム響き) P-R21 Mars testでのコントラスト感度測定に及ぼす視標サイズの影響 ○東本 美於(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) P-R22 発達障害の傾向がある視覚障害者への点字による予告支援の試み ○堀内 恭子(日本ライトハウス養成部) P-R23 超低視力下での視力検査における明るさ環境が及ぼす影響 ○呉屋 江梨奈(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) P-R24 国民生活基礎調査で示された視覚に機能制限がある者の特性 ○北村 弥生(長野保健医療大学) P-R25 中心視野欠損のある患者の移動時の視覚探索に遮光眼鏡フレームの構造が与える影響 ○尾形 真樹(杏林大学医学部付属病院 アイセンター) P-R26 視覚障害者の食事における困りごと・工夫点に関する調査 ○冨田 圭子(近畿大学農学部) P-R27 まぶしさ対策への遮光眼鏡利用 ○田中 恵津子(ウイズかじまち) P-R28 視覚障害者の「触れたい」の掘り起こしと3D模型提供実践(2) ○元木 章博(鶴見大学) P-R29 書字に用いる各種デバイス用オーダーメイドスタンドの実践報告 ○上原 知子(奈良井眼科) P-R30 視覚障害者の踏切利用の安全性向上のための研究 ○古橋 友則(日本歩行訓練士会・特定非営利活動法人六星) ポスター発表(活動報告) 演題・筆頭演者一覧 P-A1 第六回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール開催報告 ○神田 信(株式会社パリミキ) P-A2 ICT支援でのグループ講習の取り組み ○西山 貴大(NPO法人アイサポート仙台 仙台市視覚障害者支援センター) P-A3 継承と前進:チャレンジド・ヨガの新しい取り組みと未来への展望 ○高平 千世(一般社団法人 チャレンジド・ヨガ~視覚障がいの方のヨガ~) P-A4 視覚障害者のiPhone訓練~利用者の満足度と訓練効果の向上を目指して~ ○久保田 真紀(東京視覚障害者生活支援センター) P-A5 「手編み」の作品制作サポートの取り組みについて ○今泉 久仁恵(富山県立中央病院) P-A6 10年間のiPhone、iPad活用サポートからみえてきたこと ○橋本 伸子(やわたメディカルセンター) P-A7 当事者目線で寄り添う視覚障害者の就労支援 -令和5年度の実績と課題- ○山田 尚文(認定NPO法人視覚障碍者の就労を支援する会(タートル)) P-A8 夜間歩行訓練によってもたらされる効果について ○金子 周平(埼玉県総合リハビリテーションセンター) P-A9 大学生を対象にした視覚障害疑似体験(1)‐全盲疑似体験について ○倉西 キアラ(東京女子大学現代教養学部) P-A10 埼玉県における歩行訓練事業の再開後の状況について ○中村 透(グローイングピープルズウィル) P-A11 大学生を対象にした視覚障害擬似体験(2)- ロービジョン擬似体験について ○中川 百々果(東京女子大学現代教養学部) P-A12 安心安全に信号横断できる社会づくり・課題と取り組み ○谷田 妙子(視覚障害者信号機横断プロジェクト) P-A13 医学教育における視覚障害に関する啓発 ○小田 浩一(東京女子大学現代教養学部) P-A14 視覚障害をテーマにした「つくるスポーツ」の教育的効果 ○宇野 直士(山陽小野田市立山口東京理科大学) P-A15 「学んでみよう!高齢者の視機能について」という研修会の内容とその効果について ○吉野 由美子(高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会) P-A16 「千葉盲学校 寄宿舎の実態について」 ○田中 隆二郎(千葉県立千葉盲学校) P-A17 弱視児童が未知地域に外出できる力を積み上げる歩行指導の実践~修学旅行を活用して ○河守 悠(静岡県立静岡視覚特別支援学校) P-A18 杏林アイセンターのロービジョンケア ○新井 千賀子(杏林アイセンター) P-A19 コロナ感染(ズーム®)がもたらした福島県ロービジョンネットワークの活動への影響 ○八子 恵子(北福島医療センター/福島県ロービジョンネットワーク) P-A20 視覚障害がある生徒の学校への合理的配慮の申し入れについての一考察 ○阿曽沼 早苗(中之島アイセンター/大阪大学) P-A21 京都ロービジョンネットワークにおける社労士連携による障害年金申請支援の実現 ○鈴木 佳代子(京都府視覚障害者協会) P-A22 視覚障害者支援施設と眼科を繋ぐハブ構築に向けた大学病院内の整備 ○福田 このみ(慶応義塾大学/慶應義塾大学医学部眼科学教室光生物学研究室) P-A23 鹿児島心の健康講座  実践報告Vol. 10 ○良久 万里子(鹿児島県視聴覚障害者情報センター) P-A24 医療から福祉に繋いだことがきっかけとなり社会復帰を目指す40代男性の事例 ○上野 絵理香(宝塚市立病院 医療技術部 視能訓練室/きんきビジョンサポート/セルフヘルプグループ ほろほろ) P-A25 多職種連携による事例報告 ○佐藤 寛子(北九州市立介護実習・普及センター) P-A26 能登半島地震 日本盲人福祉委員会による支援報告 ○原田 敦史(日本盲人福祉委員会 災害プロジェクト委員) P-A27 医療から福祉への早期連携を目指して メルマガ色鉛筆10年の試み ○石川 佳子(京都府視覚障害者協会) P-A28 「中国・四国地区」地域ブロックの活動報告 ○金平 景介(高知県身体障害者連合会 ルミエールサロン) P-A29 「読書バリアフリー法」を追い風に相談窓口を拡げる世田谷区の取り組み ○木村 仁美(世田谷区保健センター 専門相談課) P-A30 視覚障害リハビリテーション協会 地域ブロック所属状況調査 結果報告 ○安山 周平(視覚障害リハビリテーション協会 会員活動支援委員会) P-A31 佐賀県内の各自治体における補装具・日常生活用具給付の要件等に関する実態調査の報告 ○南 奈々(たかだ電動機株式会社 視覚障害者支援部てんとうむし) P-A32 様々な立場の研究者・実践者が集まる団体の研究倫理規定の検討 ○永井 伸幸(宮城教育大学/視覚障害リハビリテーション協会理事会) P-A33 3Dプリンターを活用した、眼鏡に直接装着する弱視者用拡大レンズの製作について ○樅山 貴子(平成医療短期大学リハビリテーション学科作業療法専攻) 1 大会長挨拶 名誉大会長 小田浩一(東京女子大学教授)、大会長 新井千賀子(杏林アイセンター) 本大会のテーマは「継承と前進」です。 21世紀に入り四半世紀が過ぎようとしていますが、この間にもロービジョンケアがよりクローズアップされ始め、タブレットやスマートフォン、AIの導入など視覚障害を支援する機器の格段の発展、超高齢社会、少子化による人材不足など視覚リハビリテーションを取り巻く状況に様々な変化が起きています。 このような状況を踏まえ、すぐれた視覚障害リハビリテーションの実践や知見を「継承」しつつ、未来の視覚障害リハビリテーションを一歩「前進」させよう!という運営企画委員会の意気込みを込めております。また、協会の大会運営企画も各地域のリハに関わる会員の協力連携体制の構築という従来からの目的を踏まえつつ新たな方法を模索し、こちらも「継承と前進」というテーマで取り組んでおります。その一つの試みとして本大会は、大会運営企画委員会を視覚障害リハビリテーション協会の一つである会員活動支援委員会が担当しています。この委員会は、地域ブロックと分科会の代表で構成されており、全国各地の地域の皆様のご協力、縦軸に専門分科会の専門性のエッセンスという相互の協力が織りなす大会を目指しております。   主要なプログラムとして、2つのシンポジウムを企画しております。昨年秋に「継承と前進」のテーマに多くの方々が参加していただきたいと考え、会員へのアンケート調査を行いました。その結果を反映し先輩から後輩への「継承」としてシンポジウムⅠ「公開討論:先輩!視覚リハで困っています」として、第一部が現場のぶっちゃけ 「先輩、“そこ”どうやっていますか?」、第二部がエキスパートの秘伝開帳「視覚リハの“そこ”がコツ」、第三部を総合討論として構成しました。そして、最終日には、継承から「前進」していくエネルギーを充電できるようなシンポジウムⅡとして、見えない? 見えてる?壁を取っ払え!!「制度・職種・領域の壁を超える視覚リハ」を企画しております。 さらに、会員活動支援委員会の各地域 各分科会の委員が大会運営を経験することで大会運営を「継承」していただき、今後の地域ブロックや分科会が主体となった大会開催への「前進」を模索しております。 多くの研究発表と活発な分科会、地域ブロック会を中心にこれらのシンポジウムで当事者とそれをとりまくリハや様々な活動に関わる人たちの未来が、これまでを「継承」しさらに「前進」する一つの起爆剤となるような大会になればと、委員会一同願っております。 2 開催概要 名称:第32回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 テーマ:継承と前進 会期:2024年9月22日(日)~9月23日(月) 会場:日本教育会館(〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2) 名誉大会長:小田 浩一(東京女子大学) 大会長:新井 千賀子(杏林アイセンター) 後援(50音順): 特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会 全国盲学校長会 公益社団法人 日本眼科医会 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 公益社団法人 日本視能訓練士協会 日本歩行訓練士会 社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会 日本ロービジョン学会 大会運営企画委員(会員活動支援委員会): 岡島 喜謙(福井県立盲学校/余暇活動分科会) 押野 まゆ(公益財団法人日本盲導犬協会/情報アクセス分科会) 金井 政紀(公益財団法人日本盲導犬協会/会員活動支援委員会副委員長) 金平 景介(高知県身体障害者連合会/中四国ブロック) 近藤 わかな(名古屋市総合リハビリテーション事業団/中部ブロック) 城谷 直人(一般社団法人チャレンジド・ヨガ/O&M分科会) 関谷 香織(社会福祉法人ソラティオ ソラティオ23/高齢分科会) 多田 大介(株式会社トラストメディカル/北海道・東北ブロック) 奈良 里紗(大阪教育大学総合教育系特別支援教育部門/ロービジョン分科会) 橋本 伸子(やわたメディカルセンター/北陸ブロック) 藤縄 泰彦(社会福祉法人日本視覚障害者職能開発センター/関東・甲信ブロック) 本田 孝文(株式会社ヨネザワ/九州ブロック) 安山 周平(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター/近畿ブロック) 同時開催 視覚障害リハビリテーション協会主催 会員限定企画 研究トラの巻・自分ごとプロジェクト 会期:2024年9月21日(土) 会場:日本教育会館(〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2) 3 会場アクセス 日本教育会館 〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2 最寄駅のご案内 地下鉄都営新宿線・東京メトロ半蔵門線神保町駅(A1出口)下車徒歩3分 地下鉄都営三田線神保町駅(A1出口)下車徒歩5分 東京メトロ東西線竹橋駅(北の丸公園側出口)下車徒歩5分 東京メトロ東西線九段下駅(6番出口)下車徒歩7分 JR総武線水道橋駅(西口出口)下車徒歩15分 東京駅からの主なアクセス 東京駅-(丸ノ内線・池袋方面)-大手町駅-(半蔵門線・中央林間方面)-神保町駅(約15分) 羽田空港からの主なアクセス 羽田空港-(京浜急行・品川方面)-泉岳寺-(都営浅草線・押上方面)-三田-(都営三田線・西高島平方面)-神保町(約1時間) 4 参加者へのご案内 4-1 大会参加費 ・事前参加登録 視覚障害リハビリテーション協会 会員6,000円、非会員8,000円、学生1,000円 ・当日参加登録 視覚障害リハビリテーション協会 会員8,000円、非会員10,000円、学生1,000円 4-2 事前参加登録の方 ・事前参加登録をいただき参加費入金が確認できた皆様には、大会開催までにネームカードと領収証を事前にお送りします。 ・当日の受付は不要です。会場でネームカードホルダーをお受け取りください。 4-3 当日参加登録の方 参加費は現金でのお支払いのみとなります。お釣りがないようにご用意いただけますと助かります。クレジットカードなどの取り扱いはありませんのでご注意ください。 ・当日参加登録 日時:9月22日(日)8時30分~17時、9月23日(月)8時30分~13時 場所:一ツ橋ホールホワイエ(3階)受付 *9月21日(土)開催の分科会(ロービジョン、余暇活動)は当日各分科会会場にて参加登録証を確認します。21日に大会参加登録が必要な方は、分科会担当者にご連絡ください。その場で参加登録をさせていただきます。 *学生の方は、受付の際に学生証をご提示ください。 *日本ライトハウスが実施する視覚障害生活訓練等指導者養成課程を受講中の方は「養成課程在籍証明書」をご提示ください。 4-4 障害がある方の介助者の同行について ・障害がある参加者の介助者として同行する方の参加費は無料です。会場の受付で「同行者」の名札をお受け取りください。なお、同行者で協会会員ならびに大会参加目的の同行者には参加登録をお願いいたします。 4-5 抄録集 ・大会ホームページに抄録集のダウンロード用データ(PDF、テキスト形式、点字データ)を掲載します。印刷版の抄録集の配布は行いません。事前にダウンロードをしていただき、必要な方はご自分でプリントアウトをお願い申し上げます。 ・点字データ版はダイジェスト版となっており、一般演題(口頭発表・ポスター発表)については、演題タイトルと筆頭演者のみの記載となります。 4-6 会場内での撮影・録画・録音について ・会場内では、視覚障害の見え方を補償する拡大等の利用目的以外での撮影・録画・録音を禁止します。 ・大会事務局スタッフは、大会報告書作成用に撮影をおこなう場合がありますので、あらかじめご了承ください。 4-7 飲食・ゴミについて ・一ツ橋ホール(3階)の客席ホール内は飲食禁止となっています。 ・持ち込まれた飲食物のゴミはすべてお持ち帰りいただくようお願いいたします。会期中に発生したゴミ処理は主催者側で行う規定となっており、すべて大会企画運営委員が持ち帰ることになりますのでご協力をお願いします。 4-8 地域ブロック会(一ツ橋ホール・8階休憩スペース等) ・日時:9月22日(日)17時40分~18時40分 詳細は当日、お知らせいたします。 4-9 分科会企画 ・当協会には、5つの専門別分科会(O&M、余暇活動、情報アクセス、高齢、ロービジョン)があります。各分科会企画のプログラムについては事前登録が必要なものもありますので、大会HPをご確認いただきご参加ください。 *9月21日(土)開催の分科会(ロービジョン、余暇活動)は当日各分科会会場にて参加登録証を確認します。21日に大会参加登録が必要な方は、分科会担当者にご連絡ください。その場で参加登録をさせていただきます。 4-10 懇親会 日時:9月22日(日)19時~21時 場所:日本教育会館2階 泰南飯店(中華料理) 会費6,000円 *事前参加登録の際に一緒にお申し込みください。懇親会の参加費も参加登録費用とあわせて指定期日までにお振り込みください。 *懇親会は障害がある方の同伴者も参加費が必要になります。 4-11 視覚障害者向け生活用具・機器展示(7階701-703会議室) ・大会参加登録の有無にかかわらず、どなたでも無料で入場できます。 9月22日(日)10時20分から17時30分 9月23日(月)9時から15時 5 抄録作成支援について 提出いただいた抄録は、抄録作成支援メンバーが、「抄録としての基本要件である、目的・方法・考察のような章立てた構成がなされているか」「各章のタイトルと内容にずれがなく、読者がわかりやすく理解できるような記載となっているか」「個人情報の取り扱いは適切か」「明らかな間違いや誤字脱字はないか」などの点について、より良いものとなるよう支援します。査読ではないため、この支援の過程で発表を認めないということは起こりません。ただし、大会の趣旨にそぐわないと判断された演題は大会実行委員会が不採択とすることがあります。また、採択された演題であっても表現方法等について改変をお願いしたり提案したりする場合があります。 本年は、研究発表、活動報告共に発表演題登録者相互によって抄録作成支援を実施しました。 視覚障害リハビリテーション協会 論文誌編集委員会 6 発表者へのご案内 6-1 口頭発表 (1)口頭発表のプログラム 今回の研究発表大会では、以下の4つのセッションを予定しています。 【口頭発表①】9月22日(日)9時10分~9時50分 【口頭発表②】9月22日(日)9時50分~10時30分 【口頭発表③】9月23日(月)9時45分~10時15分 【口頭発表④】9月23日(月)14時45分~15時15分 (2)発表時間 発表:8分/質疑応答:4分 ※発表開始後6分経過したところでベルを1回、8分経過したところでベルを2回鳴らします。円滑な進行のため時間厳守でお願いします。 (3)発表会場 日本教育会館3階 一ツ橋ホール (4)進行 ・発表者は発表開始の10分前までに一ツ橋ホール内の「次演者席」(舞台に向かって左側前方)に着き、座長の進行に従って登壇し、発表を行ってください。 ・座長の方は、セッション開始時間10分前に一ツ橋ホール内の舞台右側の座長席にお越しください。 (5)発表時の配慮 1)視覚障害者が言葉のみで理解できるように、具体的な説明を心がけてください。 2)指示語(あれ、これなど)の多用は避け、図や写真も言葉で説明してください。 (6)プレゼンテーション 1)全ての発表は PC によるプレゼンテーションとなります。 2)PC は事務局でご用意します。条件は下記のとおりです。 OS:Windows 10 基本ソフト:Microsoft Power Point 2019以上対応 スライドサイズ:縦横比16:9 フォント:Windowsで標準に装備されているフォントをご使用ください。 動画・音声:Windows Media Playerで再生できるフォーマット 【ハードウェアに関する注意】 ・上記の条件以外では、誤動作や誤表示、文字化けなど動作保証ができませんのでご了承ください。 ・動画・音声をご使用になられる場合、事務局でご用意したPCでは再生できない場合がございますので、ご自身のPCをご持参ください。 【Macご使用の方へ】 ・原則、こちらで用意したPCでご発表をお願いします。Power Pointで作成していただき、windowsと互換性のある形式での保存とフォントの使用をお願いします。 ・Mac依存のアプリケーションでの発表を希望の場合にはPCと出力用コネクター電源をご持参ください。 ・Macではプロジェクターとの相性の不具合が発生する可能性があるため、PDFで保存していただき、事前にPCセンターに預けてください。 ・PCをお持ち込みの方はあらかじめ事務局(jarvi32taikai@gmail.com)までご連絡ください。 【作成ファイルに関する注意】 ・発表データファイル名を「演題番号」と「筆頭発表者の氏名」をスペースなしで記入して保存してください。  例:O-01東京太郎 ・PC 本体を持ち込む場合は、PC 本体のトラブルやデータの破損などに備えてバックアップ用データとして発表データを保存したUSBメモリも必ずお持ちください(CDは不可)。 ・発表データは終了後、大会事務局にて責任を持って消去します。 【スライドデザインへの配慮】 ・背景と文字色の差異に加えて、明るさのコントラストをつけてください。 ・行間を充分とり、字づまりにならないようにしてください。 ・スライドに掲載されている内容を把握するのに充分な提示時間を確保できるスライド枚数としてください。 ・背景色と文字色に、以下の組み合わせはなるべく避けてください。 ※2色:赤と緑、オレンジと黄緑、緑と茶、青と紫、赤と黒、ピンクと明るい青 ※3色:ピンクと白と灰色、緑と灰色と黒 (7)データ受付と動作確認 ・以下の時間に一ツ橋ホールのホワイエに設置された受付まで持参ください。 ・23日の発表も22日でのデータ受付になります。この時間帯に来場できない場合には事前に事務局(jarvi32taikai@gmail.com)までご連絡ください。 【口頭発表①】に発表の方 9月22日(日)8時15分~8時30分 【口頭発表②】に発表の方 9月22日(日)8時30分~9時 【口頭発表③】に発表の方 9月22日(日)10時20分~10時40分 【口頭発表④】に発表の方 9月22日(日)12時30分~12時50分 6-2. ポスター発表 (1)発表会場 日本教育会館8階 第一会議室 (2)ポスター発表のスケジュール 【9月22日(日)】 8時30分~10時30分 ポスター貼付作業 10時50分~11時50分 ポスター討論① 演題番号:奇数番号 【9月23日(月)】 13時~14時 ポスター討論② 演題番号:偶数番号 14時~14時30分 ポスター撤去作業 14時30分からポスター貼付ボードの撤去作業があります。 撤去終了時間前までにポスターをご自身で撤去してください。 ゴミの減量にご協力ください。 (3)ポスター作成時の注意事項 1)ポスターボードの寸法は横90cm×縦210cmでポスターサイズは下30cmを開けて、160cm×90cm内のサイズにしてください。 2)ポスターボードの左上部に演題番号を貼り付けます。なお、演題番号はあらかじめ事務局で貼り付けますので、ポスター内に記述する必要はありません。 3)ポスターボード上部右側の横70cm×縦20cmに、「演題名」「所属名」「演者名」を入れてください。 4)A3用紙ですと、10枚分になります。 5)文字サイズ、行間などを適宜調整して、視認性に配慮してください。 (4)ポスター貼付作業について 9月22日(日)の10時30分までに演題番号で指定されたパネルに各自でお貼りください。画鋲などはパネルごとに用意しておきます。画鋲の不足や貼付にお手伝いが必要な方は受付までお越しください。 (5)ポスター討論に関して 指定のポスター討論時間になりましたら筆頭発表者は参加者への説明や質問への対応、ディスカッションをおこなってください。 7 プログラム 7-1 大会プログラム     9月21日(土) 16時50分~17時50分 ロービジョン分科会企画:事前登録有り 【7階 中会議室】 ほっこりアワード ~あなたの「ほっこり」エピソードを大募集!~ 18時~19時 余暇活動分科会企画:事前登録有り 【7階 中会議室】 視覚リハビリテーションとレクリエーション 実践から考えよう 講師:福場 将太(医療法人 風のすずらん会) 9月22日(日) 9時~9時10分 開会式 【3階 一ツ橋ホール】 9時10分~9時50分 口頭発表① 【3階 一ツ橋ホール】 座長:谷 映志(名古屋市総合リハビリテーション事業団) O-1 視覚障害者の歩行支援システムに関する研究 -歩行経路の自動生成- ○大坪 克俊(金城学院大学) O-2 視覚障害者の駅ホーム転落に影響する状況要因と個人要因 ○大野 央人(鉄道総合技術研究所) O-3 視覚障害者の方向定位支援ツールによる全盲者の道路横断軌跡への効果に関する研究 ○稲垣 具志(東京都市大学) 9時50分~10時30分 口頭発表② 【3階 一ツ橋ホール】 座長:田中 恵津子(ウイズかじまち) O-4 視覚障害児・者に対する補装具・日常生活用具の支給及び活用に関する実態調査 ○奈良 里紗(大阪教育大学総合教育系特別支援教育部門) O-5 図書館の障害者サービス用ICT機器利用支援に関するアンケート調査 ○青木 千帆子(筑波技術大学) O-6 視覚障害学生の読書活動に対する録音図書サブスクリプションサービス利用の影響 ○宮城 愛美(筑波技術大学) 10時50分~11時50分 ポスター発表① 奇数番号 【8階 第一会議室 ポスター会場】 11時50分~12時50分 高齢視覚リハ分科会企画:事前登録有り 【8階 第一会議室 休憩スペース】 65歳問題の背景を理解し対処方法を考えよう 講師:吉野 由美子(高齢視覚リハ分科会代表) 13時10分~16時10分 シンポジウムⅠ 【3階 一ツ橋ホール】 公開討論:先輩!視覚リハで困っています 第一部 現場のぶっちゃけ「先輩、“そこ”どうやっていますか?』 座長:近藤 わかな(名古屋市総合リハビリテーション事業団)、藤縄 泰彦(日本視覚障害者職能開発センター) 演者:奈良 里紗(大阪教育大学総合教育系特別支援教育部門)、阪井 紀夫(徳島県立障がい者交流プラザ視聴覚障がい者支援センター)、谷生 えり(大津赤十字病院) 第二部 エキスパートの秘伝開帳「視覚リハの“そこ”がコツ」 座長:近藤 わかな(名古屋市総合リハビリテーション事業団)、藤縄 泰彦(日本視覚障害者職能開発センター) 演者:山本 敬子(静岡県立沼津視覚特別支援学校)、安山 周平(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター)、田中 桂子(神戸市立神戸アイセンター病院) 第三部 総合討論 座長:小田 浩一(東京女子大学)、城谷 直人(一般社団法人チャレンジド・ヨガ) 16時25分~17時25分 O&M分科会企画:事前登録有り 【3階 一ツ橋ホール】 踏切を安全に渡る 話題提供者:小林 章(日本点字図書館)、原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター) 情報アクセス分科会企画:事前登録有り 【8階 第一会議室 休憩スペース】 ブロックを用いたプログラミングシステムの体験会 講師:菅原 研(東北学院大学)、松本 章代(東北学院大学) 17時40分~18時40分 地域ブロック会 【3階 一ツ橋ホール・8階 第一会議室 休憩スペース】 19時~21時 懇親会 【2階 泰南飯店】 9月23日(月・祝) 9時~9時45分 ミニシンポジウム 【3階 一ツ橋ホール】 歩車分離信号機のある交差点の横断に関する現状と課題 座長:古橋 友則(日本歩行訓練士会会長/ウイズ蜆塚)、南 奈々(たかだ電動機株式会社 視覚障害者支援部てんとうむし) 演者:加藤 俊和(視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会代表)、谷田 妙子(視覚障害者信号機横断プロジェクト)、島田 延明(日本点字図書館 歩行訓練士) 9時45分~10時15分 口頭発表③ 【3階 一ツ橋ホール】 座長:永井 伸幸(宮城教育大学) O-7 英国の視覚リハビリオフィサーの実情 ○加茂 純子(甲府共立病院 眼科) O-8 医学部1年生への講義「臨床医学入門」の経験を通して ○安藤 伸朗(長岡眼科医院) 10時30分~11時30分 シンポジウムⅡ 【3階 一ツ橋ホール】 見えない? 見えてる? 壁を取っ払え!!「制度・職種・領域の壁を超える視覚リハ」 座長:平形 明人(杏林大学 眼科教授)、岡島 喜謙(福井県立盲学校) 演者:小田 浩一(東京女子大学/名誉大会長)、新井 千賀子(杏林アイセンター/大会長)、小林 幸一郎(NPO法人モンキーマジック代表理事) 13時~14時 ポスター発表② 偶数番号 【8階 第一会議室 ポスター会場】 14時15分~14時45分 防災・減災委員会企画 【3階 一ツ橋ホール】 能登半島地震の支援の現状と課題 座長:辻 拓也(視覚障害リハビリテーション協会 防災・減災委員長/つじ眼科)、中村 透(NPO法人グローイングピープルズウィル) 演者:林 由美子(「あうわ」視覚障害者の働くを考える会)、加藤 俊和(社会福祉法人日本盲人福祉委員会)、辻 拓也(視覚障害リハビリテーション協会/つじ眼科) 14時45分~15時15分 口頭発表④ 【3階 一ツ橋ホール】 座長:田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーション事業団) O-9 眼疾患児対象の試作地域連携パスへの専門医と一般眼科医の批評の傾向の違い ○藤田 利恵(広島アイクリニック) O-10盲学校における眼球使用困難症の方からの相談等の状況について ○青木 隆一(筑波大学附属視覚特別支援学校) 15時15分~15時35分 閉会式 【3階 一ツ橋ホール】 8-2 同時開催 視覚リハビリテーション協会主催プログラム(会員限定)     9月21日(土) 12時30分~13時30分 【7階 中会議室】 研究トラの巻「実践トラの巻!医療情報から困りごとを読み取ろう!」 講師:新井 千賀子(杏林アイセンター) 13時45分~16時30分 視覚リハ自分ごとプロジェクト 【7階 中会議室】 グループワーク「読み取った困りごとを視覚リハチームで解決しよう!」 8-3 同時開催 機器展示(一般開放)     9月22日(日)10時20分~17時30分 【7階 701-703】 9月23日(月)9時~15時 【7階 701-703】 8 シンポジウムⅠ 「公開討論:先輩!視覚リハで困っています」 第一部 現場のぶっちゃけ「先輩、“そこ”どうやっていますか?』 座長:近藤 わかな(名古屋市総合リハビリテーション事業団)、藤縄 泰彦(日本視覚障害者職能開発センター) 演者:奈良 里紗(大阪教育大学総合教育系特別支援教育部門)、阪井 紀夫(徳島県立障がい者交流プラザ視聴覚障がい者支援センター)、谷生 えり(大津赤十字病院) 第二部 エキスパートの秘伝開帳「視覚リハの“そこ”がコツ」 座長:近藤 わかな(名古屋市総合リハビリテーション事業団)、藤縄 泰彦(日本視覚障害者職能開発センター) 演者:山本 敬子(静岡県立沼津視覚特別支援学校)、安山 周平(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター)、田中 桂子(神戸市立神戸アイセンター病院) 第三部 総合討論 座長:小田 浩一(東京女子大学)、城谷 直人(一般社団法人チャレンジド・ヨガ) 日々の支援を行っている中で対応方法に困る場面に出会うことがあるが、そのような際にすぐに相談ができない職場も少なくない。そういった現場でおきている対応に悩んだ事例を先輩方や他職種の方に話しを伺い、様々な視点や考え方を協会全体で共有できればと思いこのシンポジウムを企画した。 事前準備として、2023年秋に視覚障害リハビリテーション協会の会員を対象に日々の支援での困り事に関するアンケートを実施した。アンケートの結果から、モチベーションの向上やニーズの聞き取りに関すること、連携に関する内容が多く挙げられていることがわかった。この結果から、(1)「やりたい」を引き出す(2)「やりたい」ことに繋げるというテーマを取り上げた。 シンポジウムは3部構成で、第1部は、上記のテーマについて教育、医療、福祉それぞれの現場からの疑問点、相談したいことを提示いただき、第2部では、それぞれの疑問にその道のエキスパートがご自身の現場経験からどのように対応していくかについてのアイディアを提示いただく。休憩を挟み、第3部では第1部、第2部に提示された内容を元に会場を交えてディスカッションを行う。 様々な立場、職種の方たちとの意見交換を通して皆様の明日の視覚障害者支援の一助となればと考えている。 話題提供者 教育 ○奈良 里紗(大阪教育大学総合教育系特別支援教育部門) ①「やりたいこと」を引き出す 試験時間の延長はずるいといわれて配慮希望を取り下げた事例 【プロフィール】高校1年生 先天性緑内障 【エピソード】志望校への入学を果たし、最初の定期試験では試験時間が足りず、最後の問題まで取り組むことができなかった。そのため、後期の定期試験は時間延長1.3倍を要望したところ、試験の見直しまですることができ、成績は向上した。このことから、周囲の生徒から「時間延長はずるい」といわれてしまい、本人の希望で定期試験等における時間延長は取り下げることになった。本人や担任は、合理性を周囲に説明することができず、これは配慮ではなくわがままなのではないかと考えている。そのため、大学入試における時間延長も受けるべきではないという方向で検討が進んでいる。 小学校・中学校までは弱視学級で支援を受けていたこと、中学校までは本人の学力で対応できており、時間延長の必要性を本人が感じていなかったため、高校で初めて試験時間の延長を体験したケースである。 ②「やりたいこと」に繋げる 視覚障害者が差別を受けたとき、専門家にできることとは? 【プロフィール】高校3年生全盲 盲学校普通科在籍 【エピソード】将来は誰かの役に立つような仕事がしたいと社会福祉を学ぶ大学へ進学することを目標に高校2年生の3月から8月にかけて、毎月志望校へ足を運び、受験や入学後の合理的配慮について話し合いを重ね、9月に願書提出、10月に面接試験を迎えた。試験を終えて帰宅したBさんは泣いていた。保護者が理由を尋ねると、自分が試験を受けるにあたって点訳に費用がかかったことや障害学生を大学が受け入れることの経済的負担について面接官が語り続け、試験に関連する質問は何1つしてもらうことができなかったのだという。保護者は翌日、大学側に抗議の連絡を入れたが、結果は不合格だった。Bさんはあきらめきれずに、再度、同じ大学を受験するも結果は変わらず、その後、専門学校の門をたたくも、全盲で点字使用者への配慮は難しいと受験することができなかった。 話題提供者 医療 ○谷生 えり(大津赤十字病院) ①「やりたいこと」を引き出す 予期せず見えなくなった患者のニーズやモチベーション向上への働きかけに苦慮した事例 【プロフィール】80代男性で糖尿病網膜症と原発閉塞隅角緑内障。アブレーション治療後に脳梗塞を発症し、視力低下(右眼、光覚なし 左眼、矯正視力(0.01))と視野障害、半側空間無視、四肢麻痺なし、記憶力の低下、学習困難あり。 【エピソード】アブレーション治療後に脳梗塞を発症し、唯一眼の左眼の視機能が大きく損なわれた。それまでは日常生活に支障なく自立生活を送れていた。突然見えなくなり強い喪失感を抱え、悲観的な訴えがあり依存的傾向にあった。 視機能評価、身体障害者手帳申請、ピアカウンセリング、プレクストーク体験、白杖・歩行訓練紹介などを行ったが、ニーズの把握や喪失感の軽減とモチベーション向上への支援が難航した。 ②「やりたいこと」に繋げる サービス付き高齢者向け住宅との連携不足が招いた支援遅延の事例 【プロフィール】同上 【エピソード】脳梗塞による左半側空間無視と視覚障害があり、生活全般に支援を要する患者様は、妻を亡くされ、お子様もおらず、独居の継続が困難な状況だったため、退院後、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入所された。経済面を考慮し、同時に特別養護老人ホーム(特養老)への申請も行われた。 当院では2023年1月より中間型アウトリーチ支援を行っており、福祉や関係団体との良好な関係を構築しつつあり、連携もスムーズに行える。しかし、今回のケースのようなサ高住などの老人施設との連携経験は乏しく、患者様の状況や必要な支援について情報提供を行ったものの、書面による情報提供のみでは十分な理解を得られず、具体的な支援に繋がるまで時間がかかった。 歩行訓練士の介入後は、杖と手すりを使用して歩行できるようになり、ラウンジでコーヒーを飲みながら入居者の方々と会話を楽しむ機会も増えた。しかしながら、申請していた特養老に空きが出たものの、病院で認定された要介護度3がサ高住入所後に要介護度2に変更されたため、入居できなくなり、経済的な不安を抱えたままの生活が続いている。 話題提供者 福祉 ○阪井 紀夫(徳島県立障害者交流プラザ視聴覚障がい者支援センター) ①「やりたいこと」を引き出す 結核性髄膜炎による下半身麻痺と全盲の重複障がいのある利用者の事例 【プロフィール】当時41歳 男性 独身 全盲になり1年ほど経過 視覚障がい・肢体不自由ともに手帳1級取得 【エピソード】入院中病院のSWから病院側は機能向上のリハビリは効果がなく、退院後の生活を検討していきたいが、本人に退院の意志がないとのこと。面接場面では「人生やりきって、もうしたいこともない」といった言葉があるが、視覚リハの紹介を行い、その他の視覚リハには乗り気でなかったが、唯一点字の訓練にのみ興味を持ち、訓練を実施。 病院内での訓練から始め、途中から母親の車での来所訓練も行うが、元々訓練頻度が少ない上に直前でのキャンセルも多く、中々進まないことが続いたため、キャンセル理由を尋ねると排泄の管理が自分でできないことが原因だと打ち明けてくれる。 結果として1年半程度である程度の触読は可能になったが、新型コロナウイルスの蔓延により外出が不可能となる。病院から肢体関係の施設に入所したとの情報はあるが本人からその後の支援希望なし。 ②「やりたいこと」に繋げる 視覚障がいによる問題よりも優先して解決しなければいけない課題が多かった事例 【プロフィール】当時65歳 女性 緑内障 手帳未取得 手動弁 【エピソード】眼科から患者が役場等に自分で行く手段がないとの相談。地域の相談支援事業所に繋ぎ手帳取得にかかる代理申請のみ依頼。しかし、詳しいアセスメントから年金も数千円程度で、自分で管理しておらず収入が全くない状態で、相方と呼ぶ男性が借りている賃貸マンションに同居中だが、本人曰く男性は別に住居があり世帯を分けているとのこと。携帯電話料や病院の治療費、介護保険料等の滞納も発覚する。 同居の男性からの協力は皆無で、虐待の可能性も疑い、緊急性が高いと判断し、地域包括支援センター・福祉課を交えた面談を行う。生活保護・介護保険の滞納など説明を受けるが、結果として同居男性との関係整理が必須だが、本人に意志なし。ある理由で地域包括支援センターが定期訪問するようになり、直接的介入は中止する。1年半後に経緯は不明だがお金が工面できたとのことで、携帯電話購入支援や同行援護制度の利用などの支援を行い現在に至る。 9 シンポジウムⅡ 見えない? 見えてる? 壁を取っ払え!!「制度・職種・領域の壁を超える視覚リハ」 座長:平形 明人(杏林大学医学部)、岡島 喜謙(福井県立盲学校) 演者:小田 浩一(東京女子大学)、新井 千賀子(杏林アイセンター)、小林 幸一郎(NPO法人モンキーマジック) 日々視覚リハに取り組んでいると、目の前に現れる大きな壁、目には見えないけれど前進を妨げる高い壁の存在を意識することはないだろうか。また何か新しいことを始めようとすると、これまでの慣習が大きな壁として目の前に立ちはだかることもある。 今回のシンポジストである小林幸一郎氏は、28歳の時に網膜色素変性症を告知された。治療法はなく、目の前にそれまで考えたこともなかった大きな壁がそびえ立った瞬間であった。 しかしながら小林氏は自らその壁を乗り越えるべく、偶然出会ったクライミングを通して、まさしく目の前の壁を乗り越えようと必死になった。「何ができないのかではなく、何をやりたいのか。」その言葉を信じ、パラクライミング世界選手権4連覇という偉業を成し遂げ、自らの前に立ちはだかった見えない壁にも立ち向かうことができた。 名誉大会長の小田氏は、アメリカで開発された読書速度の測定による新しい視力測定法であるMN-Readを日本に導入した。それ以降も、研究と臨床の両面から、様々な壁を取っ払うために尽力している。 大会長の新井氏が杏林アイセンターでロービジョンケアを始めたのは、奇しくも小林氏がクライミングを始めたのと同じ時期である。お互い未知の分野での挑戦だったが、切磋琢磨し合いながら、多くの壁を乗り越えてきた。 このように、どんな人にも過去には乗り越えてきた大きな壁があり、そして今現在も大きな壁に立ち向かっているかもしれない。 大会に参加している皆さんにも、色々な壁が立ちはだかっていると思う。この壁を一人で乗り越えるのは非常に困難だが、力をあわせてみんなで協力すればきっといつかその壁を取っ払えるはずである。今こそその力を結集し前進する時である。 このセッションでは、参加した皆さんが力をあわせて、元気とやる気を奮い起こすプログラムにしたい。フロアからの積極的な発言も期待している。 10 ミニシンポジウム 歩車分離信号のある交差点の横断に関する現状と課題 第32回視覚リハビリテーション研究発表大会運営委員会 座長:古橋 友則(日本歩行訓練士会会長/ウイズ蜆塚)、南 奈々(たかだ電動機株式会社 視覚障害者支援部てんとうむし) 演者:加藤 俊和(視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会代表)、谷田 妙子(視覚障害者信号機横断プロジェクト)、島田 延明(日本点字図書館 歩行訓練士) 日本自動車連盟(JAF)のHPによると歩車分離信号は「車両の通過と歩行者の横断が交わらないように、青信号のタイミングを分離している信号機です。歩行者が横断中に車両が横切らないように信号を制御するため、交差点の事故を減少させる効果があります。2002年9月に警察庁で「歩車分離式信号に関する指針」が制定され、全国的に整備が進んでいます。」と書かれており、国土交通省、警察庁、各自治体においても交通事故防止のために設置を奨励されている方式である。 視覚障害リハビリテーション関係者のメーリングリストJarvinet-MLで2024年4月に、この歩車分離信号が視覚障害者にとっては“横断のタイミングを図ることが難しい、初見の場所ではどの交差点が歩車分離信号なのかがわからず危険である”、訓練士として“歩行訓練の時にどう指導したらよいか?” などの議論がなされた。この歩車分離方式は各自治体での導入が推進されており各地に設置されていく可能性が大きい。歩車分離方式の交差点が視覚障害者の移動に与える影響は大きく視覚リハの重要な課題となることが考えられた。 大会運営委員会ではこの議論を受けて、視覚リハ関係者と共有すべきトピックであると考えこのミニシンポジウムを企画した。シンポジウムのまとめ役の座長に歩行訓練士として現在活躍中の古橋氏、南氏を迎え、加藤氏には歩車分離方式や視覚障害者の交差点横断についてのこれまでの背景と現状、谷田氏には当事者および視覚障害者信号機横断プロジェクトとしての課題と提言、島田氏には、実際の歩行訓練場面での課題と現状などについてそれぞれの立場からお示しいただき、歩車分離方式の課題を共有したいと考えている。   11 防災・減災委員会企画 能登半島地震の支援の現状と課題 座長 辻 拓也(視覚障害リハビリテーション協会 防災・減災委員長/つじ眼科)、中村 透(NPO法人グローイングピープルズウィル) 演者 林 由美子(「あうわ」視覚障害者の働くを考える会)、加藤 俊和(社会福祉法人日本盲人福祉委員会)、辻 拓也(視覚障害リハビリテーション協会/つじ眼科) 令和6年能登半島地震に関連したプログラム。本コースでは令和6年能登半島地震で現実に起きた被災状況や支援内容、現在の状況や今後の支援について当事者からの視線で報告し、これまでの災害において視覚障害リハビリテーション協会が行ってきた災害支援の歴史や日本盲人福祉委員会(日盲委)、および今後の課題について紹介します。 30分の時間内訳ですが、3人の登壇者による講演を各7分ずつ行い、最後にパネルディスカッションを9分間ほど設けます。 各登壇者からのコメントは以下です。 林由美子さん:年明け早々、能登半島で起こった大規模な地震。震源地に近い珠洲市の知人宅で震度7の地震に遭遇し、大津波警報、孤立の危機、停電、断水、避難所、被災地からの脱出‥一種一級の視覚障害者が初めて経験した被災地の困難と能登の被災者の状況について当事者から報告します。 加藤俊和さん:大災害時の専門的な視覚障害者支援は、東日本大震災が起こったとき、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)と視覚障害リハビリテーション協会の有志が働きかけて、日本盲人福祉委員会の災害支援が始まりました。なぜ災害時には視覚リハの専門家の支援が不可欠なのかをしっかりと検証・確認することが必要であり、令和6年能登半島地震の支援で発生した阻害要因も明らかにしたい。 辻拓也さん:今回の能登半島地震において、視覚障害リハビリテーション協会としてどのような支援が行えたのか、また今後の課題などについて報告します。 今回はあえて結論を出さずに聴講者それぞれに問題を考えてもらうような形にします。このシンポジウムが聴講者の方が災害に対して、感じ・考え・行動に移す、そんな一助になればと思います。 12 分科会企画 (1)ロービジョン分科会主催 LVC ほっこりアワード:~あなたの「ほっこり」エピソードを大募集!~ 日々のロービジョンケアの中で、心が温まるような「ほっこり」エピソードはありませんか? LVC ほっこりアワードでは、参加者みんなでロービジョンケアに関わる「ほっこり」エピソードを共有し、交流を深め、笑顔あふれる時間を目指します。LVC分科会企画は、ロービジョンケアに関心のある方、ロービジョンケアの仕事に携わっている方、ロービジョンケアの当事者の方々、大会参加者であればどなたでも参加可能です。 そして、グループワークの参加者には「ほっこり」エピソードを話してもらい共有して、グループの代表者が全体で発表。最後には、ほっこり大賞を決定します。 グループワークを通して、日々のロービジョンケアの中でのエピソードを共有しながら、参加者同士の交流を深め、ロービジョンケアの中での「気づき」と「喜び」を分かち合います。LVC ほっこりアワードを通して、ロービジョンケアに関わる輪が広がり、笑顔の花が咲くことを願っております。ご参加をお待ちしております!   (2)余暇活動分科会主催 視覚リハビリテーションとレクリエーション 実践から考えよう 余暇活動分科会 京都ライトハウス鳥居寮 石川佳子 福井県立盲学校 岡島喜謙 【目的】 視覚リハビリテーションにおけるレクリエーションの役割や効果などについて考える機会を獲得する 【方法】 事例発表・レクのワークショップ 日時 2024年9月21日 土曜日 18:00~19:00 会場 日本教育会館 中会議室( 7階701, 702) 【内容】 第1部 視覚リハビリテーションとレクリエーションをテーマに取り組み発表 第2部 レク体験 全員参加 音レクリエーション~視覚障害はある種の名探偵~ ナビゲーター 福場将太(精神科医・医療法人 風のすずらん会) 視覚障害と推理力にスポットを当てたレクリエーション。目と耳で楽しむ映像作品を音だけで聴いてみて、どれくらい内容を当てられるかに挑戦する。情報の9割は視覚と言われる中、視覚障害者は音や香り、感触や言葉から状況を推理して生活している。日常的に謎解きをしているようなものである。視覚障害ならではの推理体験をレクリエーションを通して提案し、「それぞれがイメージするもの」を共有する。 第3部 みんなで踊ろう「東京ブギウギ 視覚リハバージョン」 視覚リハでは体の位置や方向を言葉で伝える場面、手を取り伝える場面がある。シンプルなステップとふりつけを通して、見える見えない見えにくい人みんなでダンスに挑戦する。見えない人に動きを説明する、または見える人に質問したり確認することで、リハにつながるレクの機会を提案する。 ※プログラム終了後、アンケートを実施する。当日、会場で回収、または、グーグルフォームで徴収する。アンケートの結果は今後の余暇活動分科会の取り組みに活用していく。 参加対象 大会参加者 定員 100名(先着順) 参加申込 https://forms.gle/VdMLAEh9AtU3gJT16 お問い合わせ先 岡島喜謙 yoshinori.okajima@nifty.com (3)高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会主催 65歳問題の背景を理解し対処方法を考えよう 企画の目的と内容: 当分科会は、高齢視覚障害者を取り巻く問題や支援者が直面する課題等について、率直に話し合える場作りを目的として設置されました。普段の活動はメーリングリストを通じてのやりとりが中心ですが、視覚リハ大会時には、参加者同士のリアルな意見交換を行う企画を実施しています。 今回は、障害者福祉体制の中でサービスを受けていた高齢視覚障害者が65歳(特定疾病の場合は40歳)になると、介護認定を受け、介護保険によるサービスに移行することを行政から促される、いわゆる65歳問題について取り上げ、その対処法を考えることを狙いとした企画を行います。 ※実施時間が昼食時間ですので、お弁当・飲み物を持参していただき、食べながらリラックスした気持ちでご参加下さい。 話題提供 40分 講師 吉野由美子(高齢視覚リハ分科会代表) 「65歳問題の背景を理解し対処方法を考えよう」 参加者同士の意見交換 20分 日時:2024年9月22日(日)11時50分から12時50分 60分間 場所:8階第一会議室(801~804) ※ポスター会場内休憩スペース 参加資格:大会参加者(大会参加費を払った方) 定員:40名(事前申込制、先着順) (4)Orientation and Mobility分科会主催 踏切を安全に渡る 令和6年1月に道路の移動等円滑化に関するガイドラインが改定され、踏切道での安全対策が盛り込まれました。新しいガイドラインに沿った踏切はまだ多くありませんが、今後増えていくと思われます。 今回、改めて白杖を使用しての踏切横断技術を歩行訓練士より話してもらい、加えて新しく踏切内部に敷設された構造物を利用しての歩行について情報提供を行い、参加者の皆様と議論をしたいと思います。 なるべく意見交換に時間をとって安全な歩行について話をしたいと思っています。 話題提供者 小林 章(日本点字図書館) 「踏切横断の訓練法(新・旧)」 原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ) 「ガイドラインに沿った踏切と実際の歩行訓練」 日時:9月22日(日)16時25分から17時25分 会場:3階一ツ橋ホール 参加申込:https://forms.gle/27JWZgqLNydjgSXx6 ※当日参加も可能ですが、事前の申し込みをお願いします。 (5)情報アクセス分科会主催 ブロックを用いたプログラミングシステムの体験会 本分科会では東北学院大学、菅原研氏、松本章代氏の全面的な協力を得て下記体験会を開催する。 小学校教育課程でプログラミング教育が必修化されている。コンピュータプログラミングに焦点をあてた授業を実施する場合、Scratchに代表されるビジュアルプログラミングが導入されるケースが多い。当システムは直感的に理解しやすく、初心者にとって取り組みやすいものとなっているが、視覚に障害がある児童にとっては扱いが難しい。我々は、市販のブロックを用いたプログラミングシステムを含む教材を開発し、宮城県視覚支援学校小学部の児童を対象として授業を実施している。 試作システムは、以下3つのもので構成される。 【プログラムブロック】児童はブロックを組み合わせることでプログラムを作成する。ブロックには墨字及び点字で書かれた命令、ならびにそのブロックの機能を表すQRコードが貼られている。 【スマホもしくはプログラミングボード】スマホもしくはスライド式QRコードリーダを用いて、墨字もしくはQRコードを読み取り、PCを介して制御対象を制御する。 【制御対象】聴覚や触覚で動作が確かめられるように、移動ロボットや太鼓・鈴ロボット、3Dプリンタ、カッティングマシンなどを用いる。 2019年度より宮城県立視覚支援学校と共同でプログラミングの特別授業を実施している。チューター役の大学生、担任と連携しながら、児童が積極的に取り組んでいる様子が確認できている。 対象児童数が少数であること、適切な評価方法が見いだせていないことから客観的な評価に至っていないが、担任教員ならびに児童からのアンケート結果に基づくと、提案したシステムによるプログラミング学習は有効であると考えられる。 本体験会では簡単なプログラムでプログラミングを体験してもらいながら、意見を聞かせていただきたいと考えている。 13<口頭発表> 【日時】 口頭発表① O-1~O-3 9月22日 (日) 9時10分~9時50分 口頭発表② O-4~O-6 9月22日 (日) 9時50分~10時30分 口頭発表③ O-7~O-8 9月23日 (月) 9時45分~10時15分 口頭発表④ O-9~O-10 9月23日 (月) 14時45分~15時15分  O-1 視覚障害者の歩行支援システムに関する研究 -歩行経路の自動生成- ○大坪 克俊1)、染川 舞2) 1)金城学院大学、2)松新開発株式会社 かちがわの杜 【目的】 本研究では、視覚障害者の白杖を用いた単独歩行における危険性を低減すること目的として、スマートフォンによって空間的な危険性を検知し、振動刺激で目的地まで安全に誘導する方法を提案する。本稿では、障害物を回避する歩行経路の自動生成アルゴリズムを実装した試作システムによる実験結果を示し、提案手法の有効性を論じる。 【方法】 本研究では、スマートフォンに搭載されたセンサで計測した情報から周囲の3次元空間(環境地図)を自動で認識し、スマートウォッチの振動を用いて、現在位置から目的地まで経路誘導する手法を考案し、システムを試作した。今回システムに実装したアルゴリズムは次の通りである。 (1)環境地図のメッシュから床のメッシュを抽出する。 (2)歩行時に、床のメッシュの鉛直方向の空間内に新たなメッシュが生成された場合、それを障害物と認識し、空間内の床のメッシュを削除して経路を更新する。 (3)床のメッシュ上に投影された目標地点と現在位置を結ぶ最短の歩行経路をグラフ探索で求める。 【結果】 現時点までに、歩行空間の認識と経路の設定、および予め設定された歩行経路へ誘導するためのアルゴリズムを実装し、晴眼者による屋内環境における被験者実験を行った。距離20mの経路(直線・L字)の歩行において、実際の歩行軌跡と経路の誤差は平均30cmだった。 【考察】 結果を建築基準法にある敷地内通路の最低幅員である90cmと照らし、上記の誤差は実用に耐えうる可能性が示唆されたと考える。 【結論】 本稿では、障害物を回避する歩行経路の自動生成アルゴリズムを提案し、実装した試作システムによる実験結果から、本手法の実用可能性を示すことができた。本システムは、振動提示装置を複数に増やすことで、より豊かな経路誘導情報を提示できると考える。今後は、複数の振動提示装置を導入するための手法の開発とシステムへの実装を行う。 O-2 視覚障害者の駅ホーム転落に影響する状況要因と個人要因 ○大野 央人1)、中野 泰志2)、堀内 恭子3)、三宅 隆4)、赤塚 肇1)、増田 貴之1)、岡田 安功1) 1)鉄道総合技術研究所、2)慶應義塾大学、3)日本ライトハウス、4)日本視覚障害者団体連合 【目的】 視覚障害者の駅ホーム転落の防止対策は急務の課題である。本研究の目的は、転落事例から「転落に結びつきやすい行動」(転落リスク行動)を抽出し、行動の背景にある要因を明らかにすることであった。なお、本研究は、交通エコロジー・モビリティ財団の研究助成を受けて実施した。 【方法】 視覚障害当事者団体を通じて、白杖歩行をしている全国の視覚障害者を募集し、リモート形式の半構造化面接による調査を実施した。参加者は235名(男性131名、女性104名)であった。面接では、視機能等のプロフィール、転落等の経験、安全意識の状況などを質問し、逐語録を作成した上で、分析を行った。 【結果・考察】 参加者の視機能は、全盲88名、光覚弁~指数弁76名、ロービジョン71名であった。線路面および連結部に転落した約120事例を分析し、転落リスク行動6種を抽出した。視覚障害者が転落リスク行動をする理由を分析した結果、通常は安全に留意して行動していても、混雑や時間的切迫などの予期しなかった状況が生じると転落リスク行動をとってしまうことがわかった。また、転落経験者の安全意識が転落前後でどう変化したかを分析した結果、転落経験者の約9割は転落後、慎重になったことがわかった。一方、転落経験をした1割程度の中には、転落直後は慎重になったものの、時間経過と共に慎重さが薄れたというケースもあった。また、複数の転落を経験した者の安全意識の時系列変化においては、初回の転落で慎重になった訳ではない(つまり2回目以降に慎重になった)者が複数であった。さらに、転落経験前の状況については「慎重でなかった」と述べる者が多く、「まさか自分が転落するとは思っていなかった」という回答が多かった。 【結論】 視覚障害者の駅ホーム転落には状況要因と個人要因が影響していると考えられる。本研究で得られた知見に基づき、今後、具体的な方策の検討が必要と考えられる。 O-3 視覚障害者の方向定位支援ツールによる全盲者の道路横断軌跡への効果に関する研究 ○稲垣 具志1)、藤澤 正一郎2)、髙橋 和哉3)、寺倉 嘉宏4) 1)東京都市大学、2)徳島文理大学、3)特定非営利活動法人グローイングピープルズウィル、4)株式会社キクテック 【目的】 視覚障害者の道路横断支援のために様々な施設整備が進められているが、想定通りに活用できない場合や導入が進まない課題が散見される。特に横断方向の定位に利用されることの多い歩車道境界の段差は、縁石の配列が横断すべき方向と直交していないと、交差点中心部への偏軌といった危険な事象が度々発生する。このような背景のもと筆者らは視覚障害者の道路横断時の方向定位を支援する「方向定位ブロック」を開発している。これまで実験空間での歩行実験に基づき最適な仕様が抽出され、徳島県内の実道路での有効性確認を経て、東京都内の駅前広場において恒常的に方向定位ブロックが整備された。本稿は方向定位ブロックの実証的評価の一環として、敷設前後における当事者の道路横断軌跡を分析し有用性を考察することを目的とする。 【方法】 方向定位ブロックは台形が断面の2本の線状突起を有し、横断歩道口の点状ブロックの手前に突起の向きが横断すべき方向と垂直となるように設置される。突起の上に足を乗せ身体の向きを揃えることで、より確実な方向定位を可能とするものである。国分寺駅北口駅前広場において敷設前後に全盲者による歩行実験を実施した。4箇所の横断歩道口を対象とし、撮影映像の解析により歩行軌跡を分析した。 【結果】 方向定位ブロックの活用により道路横断時の歩行軌跡のずれが生じにくく、横方向の変位が約1.0m程度に抑えられ、より安定した横断が可能となることがわかった。その効果は歩車道境界の整備状況に起因する横断難易度に大きく影響されないことが認められた。歩行時の全般的なずれの程度として定義した偏軌度においても統計的に有意な偏軌抑制効果が確認された。 【考察】 方向定位ブロックの設置状況や活用方法について十分な情報提供がなされ、当事者が利用する実際の道路交通環境下で習熟すればより安定した横断歩行ができるため、安全で安心な道路横断環境の実現に貢献できる可能性が示唆された。 O-4 視覚障害児・者に対する補装具・日常生活用具の支給及び活用に関する実態調査 ○奈良 里紗1)、山田 明子2)、清水 朋美3)、松井 孝子2)、齋藤 崇志4) 1)大阪教育大学総合教育系特別支援教育部門、2)国立障害者リハビリテーションセンター病院 リハビリテーション部、3)国立障害者リハビリテーションセンター病院 第二診療部、4)国立障害者リハビリテーションセンター研究所 障害福祉研究部 【目的】 視覚障害児・者に対する補装具・日常生活用具の支給及び活用実態を明らかにすることを目的とした。 【方法】 202X年9月から11月にかけて視覚障害児・者に対する質問紙調査を実施した。質問紙は、視覚障害当事者団体等を通じて参加を呼びかけ、271名から回答を得た。質問紙は、視覚障害児・者が回答しやすいようにアクセシビリティに配慮したウェブ回答、メールによる回答を準備し、回答者がいずれかを選択できるよう設定した。なお、本研究は東京大学先端科学技術研究センターの倫理委員会の承認を得て実施された。 【結果と考察】 補装具別使用率は、視覚障害者安全つえ83.0%と最も多く、次いで眼鏡(遮光用)39.1%、眼鏡(矯正用)27.0%、日常生活用具では、使用率が50%以上のものがスクリーンリーダー70.9%、デイジー図書等録音再生機70.5%、音声体重計51.3%であった。これらの制度について、情報提供を受けた経験がないと回答した者が22.5%で眼科での情報提供は16.6%で視覚障害当事者団体等の口コミの23.6%を下回った。さらに、申請をあきらめた経験がある者が30.3%、活用できなかったことがあると回答した者が補装具では11.4%、日常生活用具では24.7%となっており、情報提供に加えて、支給にあたっての適切なアセスメントや訓練の提供の必要性が示唆された。 【結論】 本調査の結果から、下記3点の取組の必要性が示唆された。 1.支給及び活用に関する情報提供と訓練の必要性 2.社会参加のために活用できる補装具や日常生活用具の支給につながる選定時のアセスメント方法等の検討 3.補装具や日常生活用具の選定、支給に関わるすべての者が支給制度についての正しい知識を得ることができる情報提供の場等の環境調整 付記:本研究は、令和5年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(障害者政策総合研究事業)「技術革新を視野に入れた補装具費支給制度のあり方のための研究(研究代表者浅見豊子)」の助成を受けた。 O-5 図書館の障害者サービス用ICT機器利用支援に関するアンケート調査 ○青木 千帆子1)、能美 由希子1)、宮城 愛美1)、野口 武悟2)、氏間 和仁3)、清田 公保4)、小林 真1) 1)筑波技術大学、2)専修大学、3)広島大学、4)熊本高等専門学校 【目的】 図書館が障害者サービス用ICT機器の利用支援を実施するにあたり、職員が活用し得る情報や研修の機会の現状を明らかにすることを目的に、アンケート調査を実施した。 【方法】 質問項目は、①障害者サービス担当職員数、②読書バリアフリー関連リソースの活用状況、③電子図書館のアクセシビリティ対応状況、④障害者サービス用ICT機器の利用支援状況、⑤課題等である。国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービスの送信承認館・データ提供館を対象にオンラインアンケート調査への協力依頼を郵送し、2023年12月末~2024年1月の1か月間、回答を受け付けた。 【結果】 ①障害者サービスを担当する専任職員はほとんどおらず、兼任で対応している館が多い。②読書バリアフリー関連リソースとしては、サピエとみなサーチの認知度、活用度が高く、読書バリアフリー資料メタデータ共有システムの認知度、活用度が低い。電子図書館の情報アクセシビリティ対応ガイドラインについては、市区町村立図書館の4割が認知しておらず、都道府県立図書館の8割が認知しているものの、活用は2割にとどまる。③電子図書館のアクセシビリティ対応状況については、未対応/未確認の館が半数近くである。④障害者サービス用のICT機器の利用支援については、手帳の有無に限らず対応している館が多い。一方、約2割の館が利用支援に要するスキルを向上する機会がないと回答した。都道府県立図書館よりも市区町村立図書館の方が、その傾向が強い。⑤障害者サービス用ICT機器の利用支援に関する課題としては、人材、運営体制、予算の問題が多く指摘されていた。専門知識や多職種連携も課題としてあげられた。 【結論】 以上の結果から、障害者サービス用ICT機器の利用支援に際し、幅広い対象者への支援が必要とされながらも専門知識を獲得する機会や人材が不足していること、また、恒常的に生じる経費があるものの、予算が措置されていない実態が明らかになった。 O-6 視覚障害学生の読書活動に対する録音図書サブスクリプションサービス利用の影響 ○宮城 愛美1)、福永 克己1) 1)筑波技術大学 【目的】 視覚障害のある学生に録音図書のサブスクリプションサービスである「オーディオブック」を長期間利用してもらうことにより、視覚障害者の読書に与える効果や影響、利用上の課題を明らかにすることを目的とする。 【方法】 筑波技術大学学生を対象に協力者を募り、半年間、「オーディオブック」サービスを提供した。「オーディオブック」の利用前と後(6ヶ月後)に学生にアンケートを実施し、読書量、本のジャンル、利用の感想について質問を行い、読書活動への影響について調査した。 【結果】 サービス利用の募集に対して34名の申込があり、利用前後のアンケートに14名の回答が得られた。一か月の読書量は、利用前は5冊未満が12名、5冊以上10冊未満が1名、10冊以上が0名、利用中は5冊未満が9名、5冊以上10冊未満が3名、10冊以上が2名と、増加傾向にあった。読んでいる本のジャンルは「物語やフィクション」が最も多いのは、利用前後で変化がなかった。利用中、本をもっと読みたくなった(11名)、本が読みやすかった(10名)という回答は多かったが、本が探しやすかった(5名)、他のメディアに比較して短時間で読めた(6名)という回答は少なかった。感想として、眼の負担軽減、他の作業をしながらの読書、録音音声の温かみ、倍速の細かい指定などがメリットとしてあげられ、デメリットではスクリーンリーダーでの使い勝手、聴覚を使った読書の難しさ、読みたい本が無かったという点があがった。 【考察】 スマートフォンを使って、気軽に短時間の読書をする機会が増えたことが、読書量の増加に繋がったと考えられる。録音図書の利便性や品質に対する評価が読書への意欲を高めた一方で、検索性や録音図書への慣れ、という点で利用を難しく感じる者もいることが確認された。 【結論】 豊富な数の本が、利用可能な媒体で提供される環境においては、学生の読書量が増えることが示唆された。 O-7 英国の視覚リハビリオフィサーの実情 ○加茂 純子1)、柏倉 秀克2) 1)甲府共立病院 眼科、2)桜花学園大学 【目的】 本研究は、①DundeeとLondonにおけるrehabilitation officer vision impairment (ROVI)による視覚障害者支援の現状と課題を明らかにする。②ROVIの養成や研修、地域おける整備状況、今後の課題について明らかにすることを目的とする。 【方法】 2024年3月に1.Dundee Northeast Sensory ServicesのROVI)のBillから、2.London Camden地区のJaneからROVIの現状を聞いた。 【結果】 1.Bill:ROVIとなるには3年の大学課程と2年の研修期間がある。Billは定年まで2年なので、引き継ぎが必要。Dundeeのみならず周辺都市も含むので、2-300人を世話している。2.Jane:LondonではECLO数の増加で紹介が増える一方でROVIが増えず、歩行訓練が2年待ちである。地域により予算が異なるが、1000ポンドほどの補助具が支給される。RNIBのView PointというECLOが世話した視覚障害者状況の統計により、ROVIが少ないとどう困るかを報告することができる。 【考察】 ROVIになるには学費が高く、なり手が少ない。後継者作りが大変。空いているポストもある。LondonではECLOの増加で紹介が増えたが、ROVIが少なく、リハビリに遅延が生じた。fundを作ってROVI定員を増やす運動を選挙時にするのにECLOのView Pointの統計が役に立っていることを知った。 【結論】 患者を訪問するという点で理想的と思えたROVIにも課題があることが判明した。 本調査は科学研究費の助成を受けて実施した(基盤研究(C).課題番号:22K02050)。 O-8 医学部1年生への講義「臨床医学入門」の経験を通して ○安藤 伸朗1)2) 1)長岡眼科医院、2)杏林大学非常勤講師 【目的】 筆者は10年間、1年生に対し、「なぜ医学部を選んだのか」、「どういう医者を目指すのか」という根源的なテーマで講義を行ってきた。 現在の医学部学生は、6年間の間に非常に多くのことを学び、卒業後の医師国家試験をパスするために医学的知識を詰め込むことに汲々としている。こうした状況で、患者さん本位に行う医療を実践する医師を養成するために、医学部の教育は如何にあるべきだろうか? 【方法】 令和5年9月、東京都内にある私立K大学医学部1年生126名に対し、「臨床医学入門」講義を担当した際に、事前に「医学部を選んだ動機」、講義後に「将来、どんな医師になりたいか」という課題で小論文を提出してもらい内容を検討した。 【結果】 小論文の提出は2つとも95%を超えた。医学部を目指した動機は、自分や家族に健康の問題があった、書物や映画などに影響を受けた、崇高な職業としてあこがれを持っているなどがほとんどだったが、高校の成績が良かったからというものもあった。将来像では、90%以上は、患者さんを病から解放し喜ぶ顔が見たいというものであった。 【考察】 予想以上に、医学部1年生の志望動機や将来像は、ピュアで生き生きしたものだった。こうした感性を伸ばし、患者の背景にも思いを寄せることのできる医師を育てるには、医学部の教育は如何にあるべきか、教える側の責務と真剣に取り組みたい 【結論】 医学的知識が求められる今の医学部教育になかで、人間的な教育をいかに取り入れていくべきか、喫緊な課題である O-9 眼疾患児対象の試作地域連携パスへの専門医と一般眼科医の批評の傾向の違い ○藤田 利恵1)、田中 武志2、木内 良明3)1)、奈良井 章人4)5) 1)広島アイクリニック、2)広島大学病院 医療情報部、3)広島大学、4)奈良井眼科、5)広島大学病院 【目的】 少数の小児眼科・弱視斜視の専門医(以下、専門医)を一般眼科医がサポートし、地域での乳幼児の眼疾患見落としを防ぐために乳幼児健診からの眼科紹介患児に対する地域連携パス(以下、パス)を試作した。その内容についてのアンケートを広島県内の眼科医に対して実施し、専門医と一般眼科医のパスに対する否定的な意見の傾向の違いを調査した。 【方法】 試作パスについて309名にアンケートを実施した。1)回答者の個人属性、専門分野2)試作パスを使ってみたいと思うか否か3)試作パスが使えない理由・自由記載を回答させた。2)で否定的な回答をした専門医と一般眼科医の3)のコメントの傾向の違いについて検証した。 【結果】 回答309名中117件の内、82%がパスに対して肯定的な意見であったが、専門医4名と一般眼科医17名から否定的な回答が得られた。否定的な意見を述べた専門医はパスそのものの精度の批判が多く(3/4)、一方、一般眼科医は「自分がやっている内容だ」「使う意味がよくわからない」といったパスの意義に対する疑問があげられた(10/17)。 【考察】 一般眼科医のコメントからはパスの意義が十分に浸透していない可能性があることが示唆された。整形・消化器・脳神経・循環器領域では、地域連携パスを用いた連携が原則となっているが、眼科領域には地域連携パスが存在しないうえに小児眼科関係の専門医が少ない。この問題を解決するためには眼科も他の領域と同様に地域連携パスを活用し、少数の専門家を有効活用しながら標準的医療を推進することが必要である。 【結論】 地域連携パスの意義を理解してもらうために本乳幼児眼疾患における小児科眼科連携パス」を試作し、それに対する眼科医の意見を分析した。眼科医の理解向上のために広島県眼科医会に本パスの試行を働きかけている。 O-10 盲学校における眼球使用困難症の方からの相談等の状況について ○青木 隆一 筑波大学附属視覚特別支援学校 【目的】 近年、眼球使用困難症という言葉を耳にすることが多くなってきた。視力や視野といった視機能に問題はなくても、目の痛みやまぶしさを強く感じるために、目で見ることが難しいという症状であると言われている。NHKが特集したり、厚生労働省が実態調査を実施したりするなど、社会的関心が高まってきている。今後、盲学校への相談が増えてくることが想定されることから、全国盲学校間の情報共有が必要であると考え、眼球使用困難症の方からの教育相談等の実態について調査することとした。 【方法】 全国盲学校長会に対しメール調査を実施。質問内容は「眼球使用困難症の方が在籍した、又は教育相談で対応したことがありますか」とした。 【結果】 全67校中30校が回答(回答率44.7%)した。教育相談あり5校(16.6%)、教育相談なし23校(76.6%)であった。過去に在籍していたという学校もあった。自由記述については20であった。 【考察】 教育相談の実績は、それほど多くはないことが分かった。学校教育法施行令第22条の3で示される視覚障害の程度からは就学対象には該当しないが、盲学校がもつ見えにくさへの対応方法を伝えていきたいという意見が複数あった。また今後に向けて他校の事例を参考にし、適切な対応をできるようにしたいという意見も多く、今後盲学校における新たな課題になっていくであろうことが推察された。 【結論】 在籍者数減少という盲学校における深刻な課題を考えれば、見ることに困難を抱えているのだから盲学校への就学を認めてもいいのではという考え方ができる。一方、学校教育法施行令第22条の3に示す障害の程度との関連をどう考えるかの議論が必要である。今後、教育行政や眼科医との連携も図りながら、眼球使用困難症により見えにくさを抱える者の学びの場や支援の在り方を検討していく必要があるのではないだろうか。 14 ポスター発表 (1)研究発表 【日時】 ①奇数番号 9月22日 (日) 10時50分~11時50分 ②偶数番号 9月23日 (月) 13時~14時 P-R1 チャレンジド・ヨガの支援を目的としたヨガポーズの立体模型の有用性に関する評価 ○小柳 洸平1)、渡辺 哲也1) 1)新潟大学工学部 【目的】 視覚障害者がヨガのポーズを理解する際の立体模型の有用性を明らかにする。 【方法】 アイマスクをした晴眼者を対象に音声による説明、触図、立体模型の3種類を提示して各提示条件で1種類のポーズを取ってもらう。音声条件では、6つの文で構成されている指示文を読み上げ、1つの文が読み上げられるごとにポーズを取ってもらう。全ての指示文を読み上げたのち、最終ポーズを撮影する。触図と立体模型の条件では、最終ポーズの触図または立体模型を触察したのちにポーズを取ってもらい、これを撮影する。客観的評価では、各指示文のポーズが取れていれば1点を与える。主観的評価では、提示条件の分かりやすさを順位付けしてもらう。 【結果】 客観的評価では、音声、立体模型、触図の順番に再現性が高く、音声と触図の間で有意差が見られた。6種類の指示文の各ポーズを音声条件では少なくとも1人は再現することができたが、触図と立体模型の条件では誰も再現できなかった指示文があった。主観的評価では、9名中8名が立体模型、音声、触図の順番に分かりやすいと回答し、1名は音声と立体模型の順位が逆転した。 【考察】 音声条件では、各指示文がそのまま評価項目となっていたため、再現が容易であったと考えられる。触図と立体模型の条件では、誰も再現できない指示文があった。これは、例えば触図では、背中を反らすポーズは曲線の曲がり具合が緩やかであるため、顔を上方向に向けるポーズは角度の変化が手足の屈曲に比べて小さいため、注意をしていないと触察では読み取れなかったと考えられる。主観的評価の結果からは、ヨガを行う人がポーズを理解できたという気持ちを持てる点において、音声よりも立体模型の方が優れていると言える。 【結論】 主観的評価では立体模型が最も分かりやすいとされた一方で、客観的評価では立体模型よりも音声の方が再現性が高かった。 P-R2 Rivo2とBraillSense6の比較について ○西 歩峻 社会福祉法人日本ライトハウス 【目的】 Rivo2はボイスオーバーをキーボード化する機器である。Braille Sense6は単体で使用可能、モニターで操作を可視化できる。Rivo2はiPhoneがないと使用できないが、Braille Sense6は単体でも使用可能。しかしこれらに機能差はない。そこでRivo2とBraille Sense6を比較し、違いをまとめる。 【方法】 それぞれのマニュアルを参考にし、操作の種類(以下コマンドという)をまとめた。そのコマンドを使って、コミュニケーションツールであるメール機能を使った。 【結果】 コマンドはRivo2が131、Braille Sense6が296であった。Rivo2はボイスオーバー使用時と同じ手順でメールを開き、テンキーで文字を打った。Braille Sense6はメールを開くのにメールを開くまでの階層をひとつひとつ進んでいく方法と、ショートカットキーで開く方法があった。文字入力は6つのキーを使い、点字入力をした。 【考察】 Rivo2はボイスオーバーの手順がキーボード化されており、メールを開くまでの操作が1パターン、その後の操作はテンキーで文字入力し、iPhoneの画面操作よりやりやすかった。Braille Sense6はメールを開くまでが2パターン、文字入力は点字入力、これは点字を知らないユーザーにとっては使いにくいと考えられる。 【結論】 Rivo2はボイスオーバーや文字入力をキーボード化し、iPhoneを使いやすくする補助的な機器であるが、Braille Sense6はRivo2の3倍以上のコマンドの種類があり、文字入力も点字入力であるため点字学習が必要である。iPhoneはどのアプリを開いてもコマンドが統一化されているが、Braille Sense6は複数のパターンがあり、その後の操作も違うコマンドが設定されているため、このような差が生まれる。 P-R3 イタリアにおける手でみる絵本の作成と活用 ○大内 進 星美学園短期大学 【目的】 「手でみる絵本」には、点字だけでなく、触覚を使ってアクセスできる「絵」が添えられている。フルインクルーシブ教育体制にあるイタリアでは、視覚障害関連団体が就学前、及び学校教育に関与し、触覚教材の開発や提供を行っている。「手でみる絵本」の作成も積極的に進められている。本研究では、イタリアの2施設における「手でみる絵本」への取組について報告する。 【方法】 2020年にミラノ盲人協会、2023年にローマにあるイタリア視覚障害者施設全国連合を訪問し、聞き取り調査を実施した。 【結果】 (1)ミラノ盲人協会 本協会では、通常の学校で学ぶ子どもや教師のための教材を開発している。「手でみる絵本」には、ストーリー性を重視しながら、さまざまな素材を活用して触感や触運動知覚による属性把握を重視して、直感的に楽しめる「手でみる絵」が添えられていた。 (2)イタリア視覚障害者施設全国連合 本組織でも、「手でみる絵本」の製作と普及活動に取組んでいた。2011 年からは、「手でみる絵本」出版コンペティションを実施している。ここでも触察で楽しめる「絵」であることに主眼が置かれており、審査には視覚障害がある子ども加わっていた。入選作品は当施設が書籍として出版し、「手でみる絵本」の普及に役立てていた。 【考察】 2施設の取組からは、視覚的な情報の活用に制約がある子どもにもアクセスしやすい絵本であることが最優先され、触図だけでなくさまざまな素材を用いて触感や触運動知覚の効果を盛り込んだ、イメージしやすい「絵」付きの本が作成され、活用されていることが分かった。 【結論】 日本でも様々な「手でみる絵本」が出版されているが、視覚に障害がある子どもが容易にアクセスできるという観点への対応が不十分で、視覚的イメージを点図やUV印刷で触覚情報に置き換えただけのものも少なくない。イタリアの2施設の取組は、こうした点を検証する必要があることを示唆している。 P-R4 スマートフォンで読み取るブロックプログラミングシステムの開発 ○松本 章代1)、菅原 研1) 1)東北学院大学 【目的】 2020年度から小学校においてプログラミング教育が必修化されている。しかしながら、小学校で主に用いられているプログラミング環境は、テキスト入力ではなくマウス操作が中心となっており、全盲児にとっては扱いが難しい。そこで我々は、視覚支援学校小学部でプログラミングの授業を行うためのシステムと教材を独自に開発している。本発表では、スマホのカメラおよび文字認識機能を用いたブロックプログラミングシステムを紹介する。 【方法】 我々がこれまで開発してきたシステムは、「ソースコードをQRコードに変換したもの」とそのソースコードに対応する日本語の「命令(点字・墨字)」を貼った玩具のブロックを用いてプログラミングを行う仕組みとなっている。プログラムの組み立ては児童が一人で難なくできるが、そのプログラムをPCに取り込むためには、ブロック上のQRコードを1つずつ読み込む必要があり、全盲の児童が一人で行うには時間がかかる。そこで本研究では、QRコードの替わりに、スマホでブロック上の文字を読み取ってソースコードに変換する仕組みに変更する。 【結果】 2023年度、宮城県立視覚支援学校小学部5年生の全盲児童に計5回のプログラミング授業を実施し、初回は従来システム、2回目以降はスマホを用いた新システムを利用した。授業を重ねる中で児童からの要望に基づき改善し、最終的に児童・担任の先生双方から新システムに対し高い評価を得られたことを事後アンケートにより確認した。 【考察】 児童からの「一人で操作できるシステムにして欲しい」という要望に応えるため、スマホや組みたて終わったブロックを置く場所を固定するための器具を用意するなどの工夫を行った。それにより、操作性の高いシステムが構築できたと考えられる。 【結論】 スマホを用いた新システムによって、組み立てたプログラムをPCに取り込む時間が短縮され、小学校の限られた授業時間を有効活用できるようになった。 P-R5 ゴールボール初心者と熟達者の真っ直ぐ投げる際に意識するポイントの比較 ○濱中 良 京都先端科学大学 【目的】 本研究の目的は、ゴールボール初心者がボールを真っ直ぐ投げる技能を向上させるための指導方法について探索することである。 【方法】 大学生を対象とした90分3回のゴールボール授業を通じて「真っ直ぐ投げるために重要なポイントを探索する」課題を提示し3回目の授業後に記述させた。なお、真っ直ぐ投げる技能の評価については著者が開発した教材(濱中ら,2024)を使用し、教員から学生への技術的な助言は行なっていない。分析対象は、90分3回の実技およびアンケートの全てに参加した学生14名とした。記述された内容は、身体のどの部分をどのように活用しているかについて着目し、著者により分類を行った。また著者がゴールボール熟達者1名への「真っ直ぐ投げるために重要なポイント」について聞き取りした内容と比較検討することとした。 【結果および考察】 本研究の結果、「真っ直ぐ投げるために重要なポイント」として、ゴールボール初心者の内容は、手のみに関する記述3名、足のみに関する記述5名、手と足両方に関する記述5名、その他に関する記述1名であった。足に関する記述については身体の向きやつま先の向きを正面に向けるために足裏を活用すること、手に関する記述については手の触覚を活用した身体の向きを正面に向けることや腕の振りを真っ直ぐにする内容であった。なお、熟達者によるポイントは、必ず2点の触覚(両手,両足,片手片足,両肩等)を活用することであった。以上の結果から、ゴールボール初心者が探索した「真っ直ぐ投げるために重要なポイント」は、熟達者とは異なることが示唆された。 【結論】 本研究では、「真っ直ぐ投げるために重要なポイント」について、初心者と熟達者では異なる可能性が示唆された。今後、熟達者のポイントを活用した初心者に有効な指導方法について、更なる検討が必要である。 P-R6 点字の表示行数の違いが触読速度と触読動作に与える影響-点字熟練度による違い- ○伊藤 優希 新潟大学大学院 自然科学研究科 【目的】 本研究は点字用紙と点字ディスプレイ、2つの触読媒体の違いが触読時の速度・動作へ与える影響を明らかにすることを目的とした。 【方法】 点字読書ができる視覚障害者14名(平均40.5歳)を対象に、点字用紙と点字ディスプレイの2条件で文章を触読してもらう実験を行った。読者は点字用紙(32マス×22行)1枚に収まる量の文章を点字用紙条件と点字ディスプレイ条件で触読した。文章は8題あり、各条件で4題ずつ取り組んだ。触読は座位で普段通りの速度で黙読をした。実験者は読者の触読時間を計測し、触読時の手元を正面上方からビデオカメラで撮影した。 【結果】 全ての読者が点字ディスプレイで触読速度が低下した。触読時の様式によって2条件間の触読速度の差が異なることが分かった。すなわち、両手読みをする読者は片手読みをする読者よりも2条件間の差が大きかった。 触読動作について2条件間の違いが顕著に表れたのは移動、行替えキーの操作、行末の確認動作時間の「非読み時間」である。非読み時間は点字用紙に対して点字ディスプレイで両手読み読者は15.6倍、片手読み読者は1.9倍増加した。両手読み読者の中でも点字用紙で「両手2行読み」が見られた読者においては非読み時間が大幅に増加した。よって、点字ディスプレイでの触読速度低下の要因および読者間の触読速度の増加の違いの要因は非読み時間にあるといえる。 【考察】 点字用紙で両手2行読みを行う読者では、点字ディスプレイで両手2行読みができないため、点字ディスプレイでは指が点字に触れている「読み時間」が増えると予測された。しかし、2条件間で読み時間の差は小さかった。よって両手2行読みでは両方、またはどちらかの指の1文字を読む時間が片手読みよりも遅くなっていると推測される。 【結論】 すべての読者が点字ディスプレイで触読速度が低下した。この触読速度低下の要因は点字ディスプレイで非読み時間が増えることにある。 P-R7 視覚障害者の資格試験に関するアンケートから見えてきたこと ○北神 あきら1)、伊藤 裕美2)、大岡 義博2)、髙橋 雅枝1)、谷田 光一2)、中川 文1) 1)特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN)、2)認定NPO法人 視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 【目的】 視覚障害者が過去に取得したあるいは取得を試みた資格や、今後取得したい資格についての実態を明らかにすることにより、当事者の資格取得への意欲向上につなげ、関係者に対しては、視覚障害者の受験時の配慮や、学習時の環境整備について改善を求めていくことを目的とする。 【方法】 メールやSNSを通して依頼し、アンケートフォームやメールにより221名の視覚障害者から回答を得た。年齢は20代から70代まで、障害等級も1級から6級まで幅広く意見を収集できた。 【結果】 受験した資格は、医療関係では、あん摩マッサージ指圧師、針師、灸師、ICT関連では、日商PC検定、ITパスポートなどが多く、また、秘書検定やキャリアコンサルタントなどのビジネス関連、実用英語検定やTOEICなどの語学関係など、幅広い分野にわたっていた。今後取得したい資格も、MOSやITパスポート、社会福祉士の他、語学関係、教養関係など多岐にわたっていた。 受験方法や受けた配慮としては、点字が最も多く、次いでスクリーンリーダーによるPC利用、録音による問題文の読み上げなどが続いた。 受けられる配慮が増えつつある一方で、要望しても希望する配慮が受けられず受験できなかった資格も、MOSや社会保険労務士など多くが挙がった。 今後求める配慮としては、受験および学習教材での音声PC対応を希望する人が多かった。 【考察】 視覚障害者の資格取得への意欲は高く、職業に直結するものから趣味、教養関係など幅広い分野に及んでいるが、学習や試験実施方法などで受験できない、あるいは受験が困難な試験が未だ多くあることが明らかになった。 【結論】 視覚障害者が幅広い分野で資格取得への意欲を持っていることがわかった。支援団体として、当事者ニーズに応えられる受験支援のための体制づくりや、試験実施機関に対する積極的な啓発も必要で、それにより、視覚障害者の社会での活躍の場が更に広がると考える。 P-R8 視覚障害者の安全で安心な住環境整備に関する一提案 ○安部 信行 八戸工業大学 本研究は、視覚障害者による歩行中の事故及び家庭内事故に関する詳細を明らかにし、その上で、視覚障害者を対象とした安全で安心な空間・間取りに関する提案を行うことを目的としている。また、家庭内事故の防止策として、障害物知覚・方向認知及び住宅内誘導のための反響体の開発の結果についても報告する。 研究方法は、視覚障害者の家庭内事故に関する調査・分析に関して、事故の内容を明確にした。それらの結果を踏まえて、視覚障害者に最適な住環境の計画や建築模型の提案を行っている。 結果及び考察として、先ず、過去5年以内に発生した屋外歩行時の事故経験率は、回答者全体の約3割であった。屋内での歩行中の事故経験率は、自宅内で19%(145名中28名)、自宅以外の建築物内での事故経験率は23%(145名中33名)という結果であった。事故の対象物は、ドアへの衝突が47件と最も多く、ドアの半開きに衝突したことや、ドアに手を挟んで怪我をしたというものが多数あった。以上等、視覚障害者へのヒアリング調査結果等を踏まえて、最適な住環境の計画を行い、視覚障害者に間取りや居住空間を把握しやすくするための、建築模型を開発した。一般の建築模型と比べて、壁を低くしていることや、点字を活用するなどの工夫を施している。家庭内事故防止等の対策として、障害物知覚・方向認知および住宅内誘導のための反響体の開発を行った。今回の実験に用いた反響体は、空間と張力膜を組み合わせて音を反響させる形とした。反響体の音響特性から、125Hz~500Hzを対象として反響体の検討を行った。反響体の存在や方向認知について検証するために半無響室内で聴感実験を実施した。実験の結果、特に500Hzでの検知率が平均90%と非常に高いことが明らかとなった。 本研究の成果は、結果として我が国全体の家庭内事故の軽減にもつながり、ユニバーサルデザインの住まいづくりに貢献できるものと考える。 P-R9 視覚障害医療従事者の電子カルテ等情報アクセスにおける現状と課題 ○小林 茂敏1)、守田 稔1) 1)視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる) 【目的】 我々視覚障害医療従事者の現状において、電子カルテ等への情報アクセスは困難な環境にある。当会会員の実態把握と課題を調査し、医療DXに向けた今後の活動の方向性を探る。 【対象と方法】 会員のうち、現役の医療・介護従事者と電子カルテ職場での経験者を対象とし、アンケートを作成。23年10月にgoogleフォーム等で3週間の回答募集を行った。 【結果】 対象会員中5割弱の28名より回答を得た。うち全盲と重度弱視は64.3%を占めた。普段スクリーンリーダー(以下SR)使用者は20件。文字拡大等の画面調整は12件だった。資格面では医師15名、看護師5名、リハ職6名、他若干名だった。勤務先は小規模医療機関が12名、大規模医療機関が4名、退職者が6名。他に教育・福祉分野が若干名だった。 電子カルテ関連として、SRの導入を管理上の理由から不可だったが7件(25%)、動作不安定が7件(25%)だった。弱視群では文字拡大等の対処で概ね自力操作が11名だった。全盲医師等の操作においては17名が看護師等を介しての操作で対応していた。 職務遂行上の視覚障害の影響として、業務内容の変更、職場の変更、そして離職など複合要因の結果として確認された。 意見として、視覚障害医療従事者へのアクセシビリティ確保の訴えが多数上がった。 【考察】 現状において視覚障害医療従事者の電子カルテ操作は、スタッフを介してだったり、自力で行うも時間超過だったりと満足な状況にはない。医療DX推進に当たっては十分なアクセシビリティ確保を切望し、望まぬ職務変更や離職は避けたいと考える。デジタル庁が掲げる「誰一人取り残さない」充実した医療従事者であり続けることを願う我々である。 P-R10 視覚障害のある訪日外国人の利用を想定した鉄道駅トイレの多言語設備に関する調査研究 ○久木田 雄輝1)、堀内 綺人2)、森岡 かすみ3)、別府 さおり4) 1)東京成徳大学、2)東京成徳大学学生、3)エントランスG.O.A.T、4)東京成徳大学教員 【目的】 2023年のCovid-19流行に伴う規制緩和に伴い、訪日外国人観光客数は回復傾向に向かうと予測される。我が国では視覚障碍者のためのトイレ設備のバリアフリー化は未だ不十分であり、また外国人の視覚障碍者に関する研究は少ない。そこで本研究はトイレ設備の問題点を視覚障碍のある外国人の利用という観点から把握するため、外国人観光客がもっとも多く利用する交通機関である鉄道の構内及び周辺施設のトイレ設備を対象に実施調査を行うことを目的とした。 【方法】 JR東京駅構内(新幹線改札内を除く)及び改札外の八重洲地下街、黒塀横丁、北町酒場、八重北食堂において、トイレの位置を示す誘導音声案内、トイレ内の設備及びドア開閉ボタンの音声案内(多目的トイレのみ)、及び多言語対応の音声案内の有無、点字ブロック敷設の状況、音声案内の聞こえにくさ等を調査した。 【結果】 改札内の多目的トイレ10ヶ所、一般トイレ15ヶ所のうち、誘導音声案内は23ヶ所、点字ブロックは22ヶ所、多目的トイレ内の設備の音声案内は0ヵ所、ドア開閉ボタンの音声案内は4ヶ所に設置されていた。13ヶ所で音声案内が聞き取りにくかった。改札外の多目的トイレ11ヶ所、一般トイレ14ヶ所のうち、誘導音声案内は0ヶ所、点字ブロックは4ヶ所、多目的トイレ内の設備の音声案内は0ヵ所、ドア開閉ボタンの音声案内は1ヶ所に設置されていた。多言語対応の音声案内があるトイレは改札内外ともに0ヶ所であった。 【考察】 多言語の音声案内装置は一つもなかった。改札内は改札外より設備が充実していたが、十分とは言えなかった。多言語対応も含めた音声案内装置の設置や、改札内外の設備の統一化が必要と考えられる。当事者を交えての研究、調査範囲の拡大などが今後の課題である。 【結論】 現在の日本の鉄道駅および周辺施設のトイレ環境は、国内で生活する視覚障碍者にとってはもちろん、視覚障碍のある外国人観光客には特に利用しにくいものであると推察された。 P-R11 オンライン地図サービスから得られる建築物視覚情報取得可否に関する現状調査 ○竹内 一誓1)、元木 章博1) 1)鶴見大学文学部 【目的】 晴眼者が3Dデータを制作するためには、対象物の様々な方向の視覚情報が必要になる場合がある。対象物が建築物である場合、誰かが視覚情報を現地で得るという制約が生じる。しかし、その制約を受けずに視覚情報を得るには、地図サービスの上空写真機能や立体視機能など、ICTの活用が有用である。ただし、全ての建築物の視覚情報は手に入れることができない。そこで、視覚情報取得について、現状調査を実施することを目的とする。 【方法】 まず、9つのサービスの4つの機能(地図、上空写真、全方位視、立体視)の有無を調査する。次に、4つの機能において、対象施設の外観の視覚情報を得ることができるかどうかを調査する。調査対象は、全視情協の会員99組織と全国の視覚支援学校67校である。調査期間は2024年3月8日から15日である。 【結果・考察】 9つの地図サービスにおいて4つの機能が実装されていたのは、3つ(33.3%)であった。3つの地図サービスにおける「地図」及び「上空写真」機能を通して視覚情報を100%得ることができた。3Dデータを制作する上で最も重要な「立体視」機能で得られる視覚情報の割合は、全対象において、Googleのサービスが85.5%であり、Appleのサービスは52.4%であった。対象施設の視覚情報を得るためには、まずGoogleを利用する。ただし、Googleで得られない視覚情報が、Appleで得られるものが2件あった。以上のことから、Googleでの調査の後、Appleを利用することが推奨される。 【結論】 建築物の視覚情報取得に際し、3つの地図サービスが4つの機能を実装していることが分かった。次に「立体視」機能を通して得られる視覚情報の割合は、Googleの地図サービスが85.5%であり、Appleは52.4%であった。これらのデータに基づき、どこの現地調査が必要か、判断が可能となった。 P-R12 視覚特別支援学校での歩行指導と視覚障害幼児の歩行 ○三科 聡子1)、丹所 忍2)、門脇 弘樹3)、韓 星民3) 1)宮城教育大学、2)兵庫教育大学、3)福岡教育大学 【目的】 視覚特別支援学校(盲学校)幼稚部における歩行指導の現状を把握し、視覚障害幼児の歩行の課題を明らかにすることを目的とした。 【方法】 全国盲学校67校に依頼書を送付し、承諾を得た56校に質問紙調査を行った。幼稚部における歩行指導の現状,指導の目標と内容及び課題に関する項目を設定した。倫理的配慮として、調査対象校に本研究の目的と倫理的配慮を事前に書面にて説明し、研究協力と結果公表への同意を得た。 【結果】 32校の盲学校幼稚部に在籍する107名(年少32名、年中37名、年長38名)の回答を得た。25名の幼児が歩行指導を行っておらず、その理由として重複障害であることが最も多く(46.7%)、運動機能障害等のために、「未歩行」な状態のある幼児は11名である。幼稚部の活動として歩行指導を設定していない、限られた登校日数のために歩行指導の時間確保が困難である状況もみられた。81名の幼児に対して行われている歩行指導のなかで、「歩行の基礎的能力」の向上をめざす学習では,幼児が独力で目的地に到着できた達成感の獲得と、運動統制力の向上を意図している。また、ガイド歩行では、他者と一緒に歩く安心感や楽しさの実感を重視している。「歩行能力を促す」学習では、幼児が空間定位を行うためのシンボルの活用が多くみられた。環境整備では、活動内容による空間の構造化がなされ、目的的な移動の成果を幼児自身が実感できるような配慮がされてる。 【考察】 在籍幼児数や学習機会の少なさによる指導実践の少なさが教員の不安を生じさせている。視覚障害への配慮だけではなく、幼児期の発達や幼児教育の観点の必要性も求められる。 【結論】 幼稚部で行われているシンボルの活用や空間の構造化といった環境把握をより実際的に行うためにも、視覚障害乳幼児や重複視覚障害児の空間概念の形成に向けた指導の充実が求められる。 P-R13 文字サイズとディスプレイサイズが読書速度に及ぼす影響 ○石田 遥香1)、川嶋 英嗣1) 1)愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻 【目的】 文字サイズとディスプレイサイズは拡大補助具を使った読みに及ぼす重要な要因である。ディスプレイの広さには限りがあるため、文字サイズを拡大すると、表示可能な文字数が減少するため読書速度に影響を及ぼす。このことは拡大を必要とするロービジョンでは影響が大きくなる可能性がある。本研究では、3種類のディスプレイサイズで正常視力と視力低下時での読書曲線について検討することを目的とした。 【方法】 矯正視力1.0以上の8名(平均年齢20.6歳)を対象とした。ディスプレイサイズ条件として、パソコン、タブレット、スマートフォンの3種のディスプレイサイズをシミュレートしたものをMacBook Airに表示した。視力条件は、正常視力条件とバンガーターフィルター<0.1を用いた視力低下条件の2条件であった。文字サイズは視角0.1~15度で17条件であり、視距離60cmで表示された文章をできるだけ速くかつ正確に音読することで読書速度を測定した。 【結果】 正常視力条件では、文字サイズが小さい側と大きい側で読書速度は低下し、その間の文字サイズの範囲で一定に保たれていた。一方、視力低下条件では文字サイズの増大にともない読書速度は上昇して最大の速度に達するが、読書速度が一定の範囲はなく、最大の速度が得られる文字サイズよりも大きくなると読書速度は低下した。読書曲線における読書速度最大値について対応のある二元配置分散分析の結果、視力条件間で有意差が見られ、どのディスプレイ条件間においても正常視力条件と比較して視力低下条件では読書速度最大値は有意に遅くなった。 【考察】 本研究の結果は、視力低下条件において最大読書速度に達する文字サイズでは、ディスプレイに表示される文字数が少なくなることによる読書速度の低下が起こっているため、文字サイズの拡大効果が得られなかったことが関係していると考えられる。 P-R14 視覚特別支援学校における歩行指導の課題と改善策 ○丹所 忍1)、三科 聡子2)、門脇 弘樹3)、韓 星民3) 1)兵庫教育大学、2)宮城教育大学、3)福岡教育大学 【目的】 視覚特別支援学校(盲学校)における歩行指導に関する課題の把握と改善策の検討を目的とした。 【方法】 全国盲学校67校を対象として質問紙調査を実施した。事前に研究協力依頼文を郵送し、承諾を得た56校に調査用紙を郵送した。調査用紙の送付は20XX年7月上旬、返送締め切りは8月末とし、20XX年度の状況・予定を調査した。管理職又は歩行指導の中心的役割を担う教員等に回答を依頼した。 調査項目のうち、(1)歩行指導の課題15項目に対する評価(4件法)、(2)歩行指導の課題と改善策(自由記述)を抽出して分析した。 本研究の目的と倫理的配慮を調査対象校に書面で説明し、研究協力と結果公表への同意を得た。 【結果】 研究協力の承諾を得た56校のうち51校から回答があった(回収率91.1%)。 (1)歩行指導の課題に対する評価では、重複障害児の歩行指導プログラムがないことが課題として捉えられていた(64.7%)。 (2)歩行指導に関する課題と改善策の自由記述では、教員の専門性向上に関する課題が多く挙げられた(全記述の40.6%)。改善策として、歩行訓練士養成研修への定期派遣、歩行指導に関する担当部署等の設置と活動、チェックリスト等の作成と引継ぎ、校内研修会の実施と参加、外部専門家との連携といった記述がみられた。 【考察】 歩行指導の専門性に関する課題については、管理職の理解とリーダーシップにより、教員を歩行訓練士養成研修に派遣し、そうした教員を中心とする歩行指導の担当部署を設けて全校で取組む等、外部専門家との連携も含めた校内体制整備が課題改善に繋がる可能性がある。 一方、重複障害児用歩行指導プログラムの課題解決に向けては、海外指導書の導入や指導事例集等の作成・活用が考えられるが、盲学校の歩行指導に関する専門性の現状をふまえると各盲学校で対応するには困難性があるだろう。 【結論】 重複障害児を含む幼児期からの歩行指導や歩行能力を促す取り組みのあり方を全国的に連携して検討する必要がある。 P-R15 計算アルゴリズムの違いがMNREAD-Jの読書パラメータに及ぼす影響 ○合田 優希1)、川嶋 英嗣1) 1)愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻 【目的】 MNREAD-Jによる読書評価において最大読書速度と臨界文字サイズは、個々の読みの特徴を明らかにして拡大率を決定するための重要な読書パラメータであるが、従来の計算アルゴリズム(A法)では、解析プログラムを必要とするという問題点がある。一方、Patelら(2011)は計算過程を簡略化した方法(B法とC法)を提案している。本研究では視覚正常者を対象として、計算アルゴリズムの違いが最大読書速度と臨界文字サイズに及ぼす影響について検討することを目的とした。 【方法】 矯正視力1.0以上の50名(平均年齢20歳)を対象とした。MNREAD iPad appを用いて、検査距離100cmで実施した。文字サイズ別の読書速度データに対し、3つの解析方法を用いて最大読書速度と臨界文字サイズを算出した。A法:読書曲線がプラトーになっている範囲の読書速度の平均を最大読書速度とし、平均から標準偏差の1.96倍内の読書速度が得られる最小文字サイズを臨界文字サイズとした。B法:読書速度が最も速い上位3条件での平均速度を最大読書速度、最大読書速度の80%の速度が得られる最小文字サイズを臨界文字サイズとした。C法:最も速い読書速度を最大読書速度、最大読書速度の80%の速度が得られる最小文字サイズを臨界文字サイズとした。分析は対応のある一元配置分散分析と多重比較を用いた。 【結果】 最大読書速度の平均値はA法で348.8、B法で381.8、C法で394.1文字/分であり、A法